アウトドアジジ

2分で読める? アウトドアのアクティビティ、道具、自然に関するブログです。

シニア登山

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 年寄りの冷や水

何十年も前の学生の頃でした。当時よく一緒に山へでかけた友人と奥多摩のつづら岩へ岩登りの練習に行った時でした。2、3本登って休んでいると通りかけた老紳士ハイカーが話しかけてきました。しばらく言葉を交して別れ際に「これからは君たちの時代だよ」と言い残して下山していきました。その言葉の意味も理解できず、山歩きをする元気な年寄りでも歳を取るとそんなことを言い出すんだと不思議に思ったものでした。

 

その老紳士ハイカーと同じ年頃となった今、歳を取るということがようやくわかってきたようです。実は、昨年秋口にボルダリングで足を少しひねってからクライミングが少し臆病になってきました。難易度の低いボルダリングで絶対に落ちないという自信があっても写真のようなハイボール(高さのある大岩)にはかなりの躊躇を感じるようになりました。筋力はともかく柔軟性は大きく衰退しているし、重い荷物を担いで歩く力もずいぶんと衰えてきています。だいいち怪我をしたら若者のような短期的な回復などは到底のぞめません。それならしっかりとトレーニングをすればと、ジョッギングなどを実行しても体力向上などは果たせずに筋肉痛や関節痛などの問題が蓄積するばかりです。

 

世間ではこういう状況で気持ちばかりが若い気でいて、若者と同じような行動に走ってしまうのを年寄りの冷や水と言います。たまたま行動が上手くいってしまうと「まだまだ行ける」などと錯覚してますます危ない深みへとはまっていってしまいます。最近は何故かほんとの老人になる前にあそこも行きたい、ここも登りたいなどという願望が膨らみ困った状況になっています。昔会った老紳士ハイカーのように自分の年齢をわきまえ、若い世代とは違うはっきりした棲み分けを認識する必要がありそうです。

 

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SNSの投稿で「まだまだいけるじゃん」と危ないコメントをいただきました。(リードしてビレイしているのは60代の私、フォローは30代の若者。こういうのってなんか楽しいけどアブナイ)


「君たちの時代だよ」と期待されながら何の功績を残せずにダラダラと生活を続けて気がつけばすでに自分たちの時代が終わってしまう年頃になってしまいました。老紳士ハイカーのように悟りを開きシニアの立ち位置をわきまえ、ずっとマイペースで自分のアクティビティを楽しんでいくのが長続きのコツのような気がしてきました。こういう心境を全く理解できないような若い人たちには、自分たちの時代が終わらないうちにしっかりとやりたいことを済ませておいてもらいたいのもです。

 

スント9

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GPSアウトドアウォッチ


以前、カシオのABCウォッチについて書いたことがありますが、今回は現在使用中のスント9について。ちなみに、詳細なレビュー記事ではないのであしからず。簡単な紹介と2年ほど使っての感想です。

 

スント9はGPS機能の付いた腕時計で、ガーミンやフィットビットなどのようにフィットネストラッカーやスポーツウォッチとして使用できる万能アウトドアウォッチです。スマホにアプリをダウンロードしてアクティビティやトレーニングの記録や評価、GPSによるナビゲーションなどを可能にします。もちろんアプリ無しでの使用も可能です。最近は多くのメーカーがこの市場に参入していて種類も豊富です。アップルウォッチなども含めて多くの人が山登りなどに便利に活用していることでしょう。私の場合は、主にジョッギングやウォーキングなど日常エクササイズの記録、登山やスキーのナビゲーションと記録などに利用しています。一日あたりの歩数やカロリー、睡眠のクオリティなどもチェックしています。

 

以前は手持ちのGPSを山に持っていったこともありましたが、ルートのダウンロードなどが面倒なのと、電池があまり持たないことなどで腕時計式に切り替えました。スント9は最新のアップデートでナビの利用が170時間まで延長されました。ゲレンデスキーでは何回リフトに乗ってどれほど滑ったのかがすぐわかるのでとても便利に使っています。スント9には残念ながら地図の表示はできませんが、前もって予定ルートをダウンロードしておけば破線にてルートを追って目的地に到達できます。登山道以外でもルート設定が簡単にできるので重宝しています。地図も無料アプリに含まれ、もちろん日本の山岳ルートでも設定が可能で、たまに日本に帰ってBCスキーなどをする時などにも活躍します。

 

今ではほとんどのGPS時計に同じような機能がありますが、スント製品はシンプルなオペレーションシステムが特徴で、超多機能なガーミン製品などと比べると大きな違いがあります。同じプラットフォームの時計に少しづつ違った機能を追加して異なる製品を提供するガーミンとは違い、大幅なアップデートを繰り返し機能を上げていくスント製品には企業のポリシーと開発者の哲学が感じられるのではないでしょうか。過去に使用していたスパルタンでは頻繁なアップデートによって2年後にはまったく違う製品と進化していました。

 

とはいえ、ガーミンのフェニックス6シリーズなどは普段使いの時計としてのデザインも素晴らしく、スマートウォッチ機能や豊富な種類でアメリカでは大きな人気があります。スントもフェニックスと同様の機能を搭載したスント7を登場させ、またポーラーやコロス(カロス)などの新製品も注目されています。韓国製品や中華製品も選択肢に加わり気に入った製品を選ぶのが困難になっていますが、どれも使ってみればばやっぱり便利。山でも積極的に取り入れたい装備のひとつではないでしょうか。

ヘリノックス チェアーゼロ

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登山用携帯チェアー


 初めはこんなのいらないなと考えていたのに、使ってみると便利で手放せなくなった物がたくさんあります。登山用のストック、充電式の小型ランタン、GPSウォッチなど、どれもが必ず必要というものではありませんが、持っていくと絶対便利なものです。その最たるものが超軽量折り畳み式携帯チェアーです。

 

ヘリノック社製のチェアーゼロは超小型でその重量も500グラムほどです。テントのポールのように伸縮性のあるコードで繋がったフレームに軽量ポリエステル帆布を張って、あっという間に組み立てることができます。ちょっと頼りなさそうですが120キロの体重まで使用が可能です。ヘリノックス社はDACというアルミ製テントポールの開発会社から生まれたようで、DACの優れた技術がヘリノックスのチェアーにも生かされています。私はテントのポールというとイーストン社製のものしか知らなかったのですが、アウトドアの小さな市場でもやはり競合する企業は存在するんですね。以前、YKKの工場見学に行ったとき、ダントツだった世界シェアが中国企業の猛攻に奪われつつあると聞いて驚いたことがあります。どんな業界でもやはり油断大敵で安心はでききないようです。

 

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組み立て手順もプリントされています


日本人は床に座る文化があるのでテント泊で地べたに座り込んでもそれほど不便は感じないようですが、焚火なんかの時は腰掛けるのに便利な手ごろな倒木や石を探してしまいます。そんな時に自分だけチェアーゼロに座ってリラックスしてしまうと仲間たちの羨望の目は相当なものになってしまいます。何時間も重たい荷物をかついで歩いた後のテント場で椅子に座って焚火を眺めながら一杯なんて、最高の贅沢でしょう。横に小型テーブルなんかあって、グラスやコップをさっと置けたりしたらもういうことはありません。そうやってだんだんと不要な道具が増えていってしまうのです。

 

便利なヘリノックスのチェアーゼロですが、問題点もあります。何といっても小型軽量の設計なので、お尻がちょっと窮屈になってしまうのです。私は特に太っていてお尻が大きいわけではありませんが、長時間座り続けるとどうしてもお尻が圧迫されてくるのです。まあ、座る位置を少しずらしたりすれば多少は楽になるのですが、やっぱりサイズの大きな物にはかなわないようです。それと、寒い時期はけっこうお尻が冷えてきます。そういう時は防寒とクッションを兼ね備えたキルト付きの物がスグレモノです。最近は他社からもいろんなデザインの軽量携帯チェアーが発売されていて選択幅も増えてきました。目的に合った物を選びたいところです。

 

これなんかかなり快適なんですよ!

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

侵略的外来植物

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ブラックマスタード


この時期、南カリフォルニアの野原は一面この黄色い花におおわれます。なだらかな丘が続く原野が黄色に埋め尽くされると春になったと実感してしまいます。ブラックマスタードマスタードウィード)の黄色の花は一気に原野を埋めつくし、最近ではバスツアーで見学ハイクに州立公園を訪れる観光客も現れてきました。

 

広大な丘陵地帯全体がブラックマスタードの黄色い花におおわれるのは圧巻でとても綺麗なのですが、実はこの植物、侵略的外来植物で問題になっているとのことでした。ポピーやルピナスなどカリフォルニアの在来の植物を駆逐して環境に大きな影響を与えています。ブラックマスタードから放出される化学物質は在来植物の発芽を抑制して、さらに大量の水分を吸い上げることで優勢を拡大しています。確かにこの黄色い花におおわれている地帯にはポピーやルピナスなどの花を見かけることはありません。

 

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在来種のルピナス

ブラックマスタードはその名の通りその黒い種子がマスタードの原料となります。持ち込まれて猛威を振るうようになってしまった原因の一つとして、スペイン人が香辛料を確保するために栽培を始めたことが上げられています。葉や花も食用になり栄養価も高く、若葉などはサラダに最適だとのことです。食糧危機などに見舞われたら近くの野原に出向いて収穫を始めることになるかもしれませんね。また、輸入穀物などに紛れて持ち込まれたとも考えられていて、その繁殖能力の高さに驚いてします。

 

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ブラックマスタードに侵略された丘陵地帯

驚異的な繁殖をおさえるのはもはや手遅れで、地中深く埋まった種子でも50年以上にわたって眠り続け発芽してくるそうです。一株あたりで何千もの種子ができるので、毎年ばらまかれるその数は億や兆の単位でしょう。頻繁におきる山火事の熱でも種子が発芽不能になることはありません。種ができる前に引き抜いてしまうのが良策なのですが、これだけ広がってしまえば何の手立てもありません。

 

ブラックマスタードの花が咲く時期は、枯れ野原に一年ぶりに草花の緑が蘇ってくる季節です。外来種で迷惑だと知ってもやはり心が和んでしまうものです。そんな黄色や緑の野原も数週間のうちに季節が進み、気温が上がり雨もまったく降らなくなくなります。隆盛を誇るブラックマスタードの花も他の草花と同様に一気に枯れて元の枯れ野原へと戻っていきます。そして、もっと深刻で迷惑な山火事の原因と姿を変えていってしまうのです。

 

レッドレンザー ML6

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テント照明

 

レッドレンザーのランタンを購入しました。ML6という暖色LEDの製品です。パッケージにあるルメーン数値は最大で750となっています。これはブースト時の数値ですがさすがに明るいです。一番低い設定では200時間使えることになっています。優れたデザインで吊り下げたり、磁石でくっつけたり、三脚を利用したりできる280グラムの充電式小型ランタンです。

 

ML6が特徴的なのはそのレンズで、マイクロプリズムテクノロジーでまぶしさを抑えて効率的に明るい照明を提供してくれます。その特殊なレンズのおかけで他製品によく見られる不格好な反射板が省略されていても器具下方を効率よく照らしてくれます。もちろん赤橙や点滅の機能もあって、さらにスマホなどのUSB充電も可能です。ベースなどを除いた本体は13センチほどで、少し持ち重り感はありますが山にも問題なく持っていける大きさです。

 

私が山でテント泊をするようになった何十年も昔は、野営時の証明といえばロウソクが主役でした。雲母の風防がついた折り畳み式のロウソクランタンが便利でよく使われていました。私もどういういきさつで所有していたのか覚えていませんが、雲母がペラペラと剝がれるのが面白くてテントの中で遊んでいたことを思い起こします。その後、ガスカートリッジ式の軽量ランタンが表れてその明るさに驚愕したものでした。乾電池式のものはまだまだで、便利な充電式など考えも及びませんでした。充電式を可能にしたLEDの登場はまさにイノベーティブ、山道具の発展史でも革命的な出来事と言えるでしょう。

 

山で使うヘッドランプやランタンなどの照明器具を選ぶ時に悩んでしまうのが乾電池式か充電式かの選択です。LED照明になってからは乾電池でも十分長持ちするし、長期の山行では予備電池を携行する方が充電式よりは何かと便利なようです。週末の2、3日の山行では乾電池の使い残り容量に心配のない充電式に分がありそうです。購入したML6が本格的な登山で(この年齢ではその機会もあまりなさそうですが)どれほど頼りになるかはまだ不明ですが、災害時には十分にその役割を果たしてくれそうです。将来、開発が進む個体電池が利用できるようになればアウトドアの照明もさらに便利になっていくことでしょう。

 

yukinoshingun.com

 

 

 

 

 

革靴

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古道具 その

 

ちょっと以前の話になりますが、スキー場のリフト券売り場に並んでいた時に話しかけられたことがあります。「そのスキーはいったい何年使っているんだい?」手にしていたのは写真のようなクラシックなテレマークスキーではなくて、最新のビンディングが付いた太めのテレマークスキーでした。最新とはいえヒールピースがなくてぶらぶら揺れているテレマークビンディングを見て大昔の革靴で滑るスキーと勘違いしたのでしょう。

 

踵を固定せずに滑るテレマークスキーにプラスチックのスキーブーツが使われるようになったのはもう20年は昔のことですが、今でも昔ながらの革製のスキーブーツで細いスキー板を操りながら雪山を楽しむ愛好家も少なくはありません。革靴ではゲレンデの高速カービングターンなどはとても望めませんが、雪山を歩いて、登って、そのまま滑るにはやはり最強の道具なのです。プラブーツの素材や成形のテクノロジーがどんなに進んでも足によく馴染んだ革靴のフィット感に追いつけることはないでしょう。

 

しなやかさが要求される登山靴やハイキングシューズではなおさらです。かつて一斉を風靡したプラスチックの登山靴は影をひそめ、皮革やそれに近い合皮を使用したものが再び主流となっています。とはいっても足が直接接する靴のライニングにはナイロンなどの化学繊維が使用されていることがほとんどです。防水性を高めるために使用されるゴアテックスなどのブーティーには通気性を高めるために化繊のライニングが一般的で、そのため靴の中で足が滑りやすく、革製ライニングのようにしっかりとしなやかに足をホールドしてくれません。今でも上級グレードの車のステアリングに革が巻きつけられているのはそれと同じ理由からです。

 

自然素材の革靴は良い事ずくめのようですが防水性や重量が大きな弱点です。昔の冬山では凍らないように登山靴を抱いて寝ました。ナイロンアッパーのゴア登山靴が登場したときにはその軽さに驚いたものです。革靴にはメンテの手間もあり、手入れを怠るとすぐに最悪の状態になってしまいます。そういう欠点とともに、昔ながらの手縫いの革靴を見かけなくなった理由に製造コストの削減があります。熟練した職人が各パーツを丁寧に縫い上げていくよりは、ゴアテックスのブーティーを買い入れ接着剤でそれぞれのパーツを張り合わせていく方が安価に高性能の靴を製造できます。消費者もより安いものを求めるので、耐久性やフィット感などちょっとした不具合には目をつぶってしまいます。

 

踵の上がるテレマークスキーはあまり頻繁には見かけないので「大丈夫ですか、スキーが壊れていますよ」などとゲレンデで注意されたテレマーカーも多いと思います。最近は新しいテレマークビンディングシステムも広まり、写真のような昔ながらのケーブルビンディングが少なくなったのでなおさらです。若い人が革靴で細いスキーなどに乗っていたら変人扱いされてしまいそうです。スキー靴も登山靴も、手頃な価格や便利な機能にだけとらわれることなく、しっかりと伝統的な道具にも愛着を持って使い続けていきたいものです。願わくばそういう道具が細々でもかまわないのでずっと作り続けられればと思っています。

 

 

野鳥観察

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ホワイトペリカン

 日本では見られない野鳥ですが、こちらではわりと出会うことが多いペリカンです。とはいっても頻繁に見かけるのは海岸線でよく編隊飛行しているブラウンペリカンの方で、白鳥のようなホワイトペリカンは見かける機会が少し限られているようです。ホワイトペリカンはブラウンペリカンより大きくて翼長は大きいもので3メートルほど、特徴的なクチバシも40センチ近くになるアメリカでも最大級の鳥です。

 

私は熱心なバードウォッチャーというわけでもないし、それが趣味ということではけしてありません。だいいちあの分厚いガイドブックをいつも持ち歩く気にはなれないし、尾が2つに別れているとか胸に斑点があるとか、見た鳥を特定するのは至難の技だといつも思っています。それでもたまに双眼鏡を持ち出して小鳥などを覗いてみると、ただの小鳥が思いがけずに鮮やかな色彩で宝石のように美しかったりして驚いてしまうのです。この日も散歩がてらに訪れた水道管理局の敷地内で運良くホワイトペリカンに出会えて、遠くに泳ぎ去るまでじっくりと観察してしまいました。

 

ご存知のようにペリカンの下クチバシには大きな袋が付いています。その袋は捕らえた魚を入れて運ぶために使われると思われがちですが、実際には捕獲用で飛び立つ前に魚は飲み込まれてしまうということです。袋には血管がたくさんあって暑いときには袋を振って体温調整に役立ちます。群れになって協力して魚を浅瀬に追い込み効率的に捕食することもあるそうです。写真の上クチバシには角のような突起がありますが、これは繁殖期に特有のもので卵を生み終えると落ちてなくなるとのことです。

 

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ペリカンを見かけた水道管理地は人工池がいくつかあってその周りに植物が植えられたり遊歩道がつけられたりした人工湿地帯です。いくつかの池を水が移動して自然のサイクルで水処理を行っているようです。この日は珍しく立木にとまったターキーヴァルチャー(ハゲ鷹)も目にすることができました。ツバメやハチドリもたくさんいて人工の湿地帯とはいえ豊かな自然に接することができました。家のどこかに双眼鏡が眠っているようでしたら久しぶりに外に持ち出して鳥たちを眺めてみてください。鳥にあんまり興味がなくてもきっと楽しい時間になりますよ。