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山岳ガイドの資質

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プロガイド廣瀬憲文


山岳ガイドの草分け的存在で長年にわたって活動を続けてきた廣瀬憲文さんがこの夏、穂高岳でお亡くなりになりました。かつては涸沢テント村の村長さんとして親しまれ、半世紀は通ったと思われる穂高岳での事故でした。私自身はもう何十年もお会いしていなくて連絡も途絶えていましたが、70歳になってもお元気にお客さんを案内していたようです。 このブログを御覧になっている山好きの方々にもひょっとしたら一緒に山へ出かけたことがある人もいるかもしれません。

 

昔は山のガイドというと輝かしい登攀記録を持った定職のないアルピニストが生活のための日銭稼ぎに活動していた印象がありました。現在ではマーケットの拡大とともに日本山岳ガイド協会が設立され安心して野外活動のガイドが利用できるようになり、専門職としての地位も確立されてきたようです。協会が認めるガイド資格も複数あって自然ガイド、登山ガイド、山岳ガイド、スキーやフリークライミングなどと活動範囲が異なるそれぞれのエキスパートを承認しています。

 

知識や技術、経歴が重視されがちなガイド業ですが、資質として要求されるのはその人の人間性や人徳です。危険な山を案内して安全に下山してくるためには経験に裏付けされた高い技術や知識が必要なのはいうまでもありませんが、それ以上にクライアントが安心して楽しくコミュニケーションをとれる能力が必須です。人が好きで奉仕ができる、いつでも楽しく会話を進めることができて、必要な時には強い指導力を発揮できる能力です。そういった能力はまさに生まれつきの性格で多少の努力や訓練で修得できるものではないでしょう。廣瀬ガイドはそういう天性の素晴らしい能力で多くのクライアントを山へ案内してきました。

 

「誰でも必ず登れるようになります」というのが廣瀬ガイドのモットーでした。岩登りを始めたばかりの初心者から、思うように体が動かせなくなった高齢者まで、楽しく練習を重ねれば必ず登れるようになりますと優しく勇気づけられて奮起した人も多いことでしょう。ネットでは韓国インスボンでの廣瀬氏のプロガイドとしての逸話がありました。私も何十年も昔にご一緒して楽しい時間を過ごした思い出があります。ロッククライミングで有名な小川山でも、その黎明期に大活躍をしていて彼の名前のついた名ルートもあります。

 

その昔、廣瀬ガイドが大活躍を始めた頃、欧州アルプスやヒマラヤの輝かしい登攀記録を持つクライマー達から「大したところは登っていない」と見下され妬まれたたこともあったようです。今では、そういった人たちこそ廣瀬ガイドの人気の秘密を探って欲しいものです。山が好きで、低山歩きから海外登山までガイド職を目指している人がいるなら知識や技術ばかりでない、他の何かで何ができるか確認してみることも大切だと思います。山岳ガイド業は人と自然を相手にしたやりがいのある仕事であることは昔も今も変わりません。(表題写真、中央の赤パンツが廣瀬ガイドです)

 

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