アウトドアジジ

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山の不審者

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山賊、追い剥ぎ、詐欺師


小学生の頃でした。遠足で初めて山に登った時です。山道で出会う人が気持ちよく挨拶してくるので先生に知っている人なんですかとか聞いてしまいました。町では見知らぬ人に挨拶することはほとんでないので、山に来る人はみんな礼儀正しい良い人なんだと思ったものです。

 

山を登りに来る人は善人ばかり、でもこれだけ多くの人たちが山に来れば不審者や悪者も登ってきます。テント場では寝袋などの山道具が盗まれたり、登山口ではザックがまるごと消えたりしてしまいます。盗難ぐらいならまだしも、強盗傷害、殺人事件も起きています。たまたま山道で出会って同行した人が豹変して暴行され金品を奪われたり、強姦されたりなどということが時々起きています。人目のない山道では都会より危険かもしれません。

 

もうだいぶ昔の話ですが、まだ純情な若者だった頃、飯能市天覧山での出来事です。ひとりで岩登りの練習をしていると、人の好さそうな青年が声をかけてきました。「そこはちょっと難しいですよね」とか「右手の小さいホールドがポイントです」などと、今でいうところのボルダリングのベータを助言してくれます。地元のヌシ(行けばいつもそこにいる精通者)のようで、山岳雑誌にもローカル情報を投稿していて「僕のこと知っていますか」などと聞いてきます。

 

さあ、もう帰ろうという頃になると、飯能には美味しいうどん屋さんがあるので一緒にどうですかと誘ってきました。コシのある確かに美味しいうどんを楽しんで席を立とうとするとトイレから戻ってきた青年が「どうも財布を落としてしまったようなんです。たいへん申し訳ないですが、お勘定お願いできますか」などといってきました。純情な若者だった私は仕方ないなあと思いながらも二人分を払ってお店を出たのでした。後からこの話を友人にすると、この人物は有名人でいつもこうやって人にうどんをたかっているとのことでした。

 

すっかり騙されて腹立たしい思いをしたのはいうまでもありませんが、こういう人なつっこく話しかけてくる不審者には山でも町でも注意が必要なことを勉強させてもらいました。亡くなった私の母は買い物帰りにカートを押して急坂を登っている時、高校生ぐらいの男の子に親切に助けてもらいました。すっかり感謝して家に帰って気づいたら財布が丸ごと抜き取られていました。ほんとうに親切な人に懐疑的になるのは残念なことなのですが、被害を被るのは自分になることを忘れないでおきたいものです。山でもたやすく人を信用してはいけないようですね。特に単独行の時は注意が必要です。