アウトドアジジ

2分で読める? アウトドアのアクティビティ、道具、自然に関するブログです。

憧れの北鎌尾根

f:id:midoriiruka:20210721094737j:plain

北鎌尾根と高瀬ダム

 

加藤文太郎や松濤明の壮絶な遭難で名が知れた北鎌尾根です。北アルプス槍ヶ岳へ突き上げる急峻な尾根で登山や山歩きをする人には憧れのルートです。まだまだ若い学生時代に当時よく一緒に山に出かけた友人とそのルートをトレースしたことがありました。記録は写真しか残っていませんが、6月になってすぐ、まだ雪が残る季節、登り終えた後は何かベテラン登山者に仲間入りしたような気になりました。

 

現在は上高地から入山して水俣乗越を経由して北鎌沢を登る人が多いようですが、本来、北鎌尾根は末端から登るのが正当な登路でした。末端から登るには大町から高瀬川を経由する長いアプローチをたどる必要があります。「うまくすると工事トラックに乗せてもらえるよ」という友人の憶測に騙されてしまったのですが、当時はあの大規模なな高瀬ダムがまだ建設中で確かに多くの工事車両が忙しく働いていました。登山道から眺めた建設中のダムには大岩を積載した巨大なダンプが何台も行き交っていました。遠目に眺める巨大ダンプはオモチャのように見えますが、近寄ればビルディングほどの大きさがあります。さらに一緒に働くパワーショベルはその数倍の大きさがあり、近寄ってその大きさを確かめたくなってしまうのでした。

 

f:id:midoriiruka:20210721095219j:plain

北鎌沢最後の登り、靴底丸見えの急登。


高瀬ダムは石積みのロックフィルダムです。176メートルの堤高はロックフィルとしては日本一だそうです。建設費にいくら投じたかは調べていませんが、まだ日本経済が元気だった頃で、ダムばかりではなく日本のあちこちの沢筋に多くの堰堤が建設されてきた時代でした。当時は自然破壊、税金の無駄使いと大ヒンシュクを浴びましたが、今なら無意味な緊縮財政と覇権的グローバリズムで受注先はすべて外資、日本には投資利益が一銭も入ってこない状況になっていたかも知れませんね。

 

巨費を投じた高瀬ダムですが、上流より流れ込む堆砂の影響で発電機能に支障が生じてくる様相です。 現在はトラックによる搬出で堆砂に対応していますが、225億円をかけてトンネルとベルトコンベアーで対応する計画が進んでいるとのことです。利水から治水へと目的も変わり、流行りのグリーンエネルギーシステムの問題点が浮き彫りになってしまいました。巨大石油資本は将来グリーンエネルギーシステムが行き詰まることを確信していて、世界が脱炭素に騒いでいる間に石油、天然ガス資源を安価で買いあさり大儲けをしようと目論んでいると考える知識人たちも少なくはないようです。

 

f:id:midoriiruka:20210721095544j:plain

登りついた槍ヶ岳から穂高連峰の眺め


冬の登攀も考えて北鎌尾根は末端から登らなければと考えていた私達でしたが調べてみるとちょっと面倒、雪渓登りで楽ができそうな北鎌沢を攻めてみることにしました。ところが北鎌沢も容易ではなくて長い長い登りで大変だったことを覚えています。それでも心配だった独標も難なく通過して無事に槍の穂先へ登り着くことができました。何十年も経って覚えているのは長いアプローチに疲れ切って到着した北鎌沢出合での幕営。温かい日差しで草の上に寝転がってウトウト、友人の話が心地よい子守唄になって返事も曖昧になってまぶたが少しづつ閉じていってしまうのでした。

 
damnet.or.jp

www.decn.co.jp

 

 チップモンク

f:id:midoriiruka:20210705040324j:plain

シマリス

クマやイノシシなどは勘弁ですが、山に行ったときに小動物に出会うと楽しいですよね。頂上などでお昼を食べているとおすそ分けをねだって必ずチョロチョロと出てくるのがリスの仲間です。警戒心が極めて高くて臆病ですが、その臆病な様子がとても可愛くていつも何かおやつをあげたくなってしまいます。野生動物に食べ物を与えるのは最悪のマナー違反なのですが、与えるつもりがなくても間違って地面に落としたりしたものを狙って近づいてくるのが通常です。

 

写真のリスはこちらでは一般にチップモンクとよく呼ばれる動物で、米アニメのキャラクターにもなっているので知っている人も多いことでしょう。日本にいるシマリスと同じ仲間のようですが、ほんとうはチップモンクではなくてグランド・スクワレル です。ところで、このリス ( squirrel ) という英単語、発音は日本人には難しいRとLの音が入っているし、どうやら更に難しいWの音(?)も含まれているようでカタカナ表記も間違っているかもしれません。余談になりますが、自動車などのシャーシは  chassis で、チャーシという表記が原音に近いんですよ。

 

f:id:midoriiruka:20210705132756j:plain

ジョシュア・ツリー国立公園の砂漠にもおやつを貰いに出てきます。 

 

写真のリスがなぜチップモンクではなくてグランド・スクワレルなのかというと顔に縞模様がないからです。顔に縞模様があるとチップモンクだそうです。どちらも色も大きさも同じで似かよっていますが、この違いだったらかなり簡単に見分けられますよね。どちらも冬になると冬眠してしまいますが、グランド・スクワレルは冬眠に入るとずっと眠ったまま、チップモンクは時々目をさまして蓄えた木の実などを食べて春を待つそうです。実は自宅の裏庭にもリスが来るのですが、こちらはかなり大型で、朝早くからチッチッと不快な騒音を立て可愛らしさのまったくない迷惑な動物です。

 

表題写真はよく登りに行く3千メートルの山頂で撮影したものですが、雪のない季節なら必ずチョロチョロと数匹が顔を出してきます。岩陰に身を隠しながら少しづつ近づいてきて、何か口にするものがないか斥候(せっこう)を挑んできます。今日も出てきたなと岩に座ってのんびり眺めていたら突然の激しい風切り音。私の頭をかすめてタカが急降下してきたのでした。私自身も驚いて一体何が起きたのか一瞬戸惑ってしまいました。リスたちはあっという間に岩陰に隠れ、その日はもう二度と姿を表すことがありませんでした。どうやらタカの急襲は失敗におわったようですが、その恐怖は相当のものだったことでしょう。

 

www.youtube.com

可愛いけど触ったりするのはNG! ハンタウイルスに感染する恐れがあります。呼吸器系の疾患を引き起こし新型コロナより恐ろしい。以前、ヨセミテ国立公園で感染が確認され死亡者も出ました。

 

 

 

韓国インスボン

f:id:midoriiruka:20210702024100j:plain

異文化交流

 何十年も昔の話です。韓国ソウル郊外のインスボンへロッククライミングに出かけました。当時、日本はフリークライミング黎明の時代で日和田山女岩のオーバーハングがフリーで登られたり、小川山に次々と困難なフリールートの開拓が始まった頃でした。ヨセミテのように草木のない本格的な花崗岩の岩場を手軽に登りたいということで五月の連休に訪れました。

 

海外登山とはいってもヒマラヤやカラコルムの高山に挑戦するわけではなく、準備も日本の山へ週末に出かけるのと同じように簡単なものでした。 現地に精通したクライミングガイドも同行し、今なら韓国グルメツアーのような手軽さです。それでも私にとっては初めての海外旅行。同じアジアの隣国とはいってもやはり外国、日本とは違ういろんな事を経験することができました。空港から乗ったタクシーのスピードメーターはブレが激しくて、いったい何キロで走っているの?今ではアメリカで日本車を駆逐する勢いの韓国車も当時はその程度でした。宿泊した山小屋ではオンドルが暖かく、食事は毎回お赤飯、お箸もステンレス製でした。確かに日本とは違う文化がありました。

 

f:id:midoriiruka:20210702120300j:plain

インスボンのクラシックルートを登る

東洋のヨセミテとも呼ばれるインスボンは素晴らしい花崗岩のドームです。岩場の大きさはともかく、雰囲気はヨセミテのハーフドームや南カリフォルニアのターキッツと遜色はありません。パタゴニア創業者のイヴォン・ショナードが韓国で軍役についていた頃に開拓したクラッシックルートもあって、クラック、スラブと数々の好ルートを楽しむことができます。もちろん地元クライマーにも人気があって楽しく国際交流することもできました。

 

f:id:midoriiruka:20210702121121j:plain

韓国人クライマーたちと記念写真

スラブ登攀中に次の一手が出せずにいると、韓国人クライマーはキムチを食べなければ登れないといってポケットからアルミの容器を差し出してくるのでした。蓋が開けられた龍角散のような容器の内側は唐辛子のシミで真っ赤になっていました。韓国人クライマー達の度胸は素晴らしく、ランアウト(墜落を食い止める支点がないこと)が10数メートルに及んでも果敢に挑戦して、よつん這いになったまま何回も上からずり落ちてくるのでした。ツルツルの困難なルートをハイキングシューズにしか見えないぶかぶかのボロ靴で登りきってしまうのを目のあたりにすると、そんなはずはないと知りながらも、何かしら特別なゴムでも貼り付けてあるのではないかと懐疑心も湧いてきたのでした。山の中なのに岩場の下からは大人数の合唱の声(もちろん韓国語)も聞こえてきて異国情緒にどっぷりと浸かってしまうのでした。

 

引き返すことができないほど悪化してしまった日韓関係ですが、今でもインスボンに行けば地元クライマーと楽しい異文化交流ができるのでしょうか。同じ山を楽しむ共通した喜びで必ず楽しい時間が分かち合えることと思います。グローバル化がさらに進み世界中どこへ行っても同じようになってしまう前にしっかりとそれぞれの違いに触れておきたいものです。もちろん新型コロナ騒動がおさまればの話ですが。

 

www.glafis.com

 

 

 

 

 

 

  山動画

f:id:midoriiruka:20210624041316j:plain

動画投稿


天気や仕事の影響で山に行けないことはよくあることで次回のチャンスに期待してしまうものです。体調が思わしくなく延期してしまうこともあります。山に行けない時に行った気分にさせてくれるのがユーチューブなどの動画投稿サイトです。道具物もためになりますが、やはり行けない時に面白いのが紀行物です。優れた内容の投稿も多く、プロ顔負けのクリエーターが最新の機材を駆使した素晴らしいビデオも楽しむことができます。

 

私がよく覗くクリエーターのチャンネルでは山行の様子を車中の会話から始め、アプローチ、登頂、敗退、下山、反省会まで全てを記録して、まるで彼らと一緒に山に登っているような気にさせてくれます。会話内容などはかなりプライベートなものなのですが、それが親近感を増長させて何年も山で遊んでいる友人たちと同じ山行に参加しているような錯覚を味わうことができます。営利目的でより多くの人たちに見てもらおうとか、思想や理念を一方的に啓蒙しようとしているわけではないのでテレビ番組などとは一線を画しています。

 

www.youtube.com

 

山の映画や映像というと古くは日本山岳隊のマナスル初登頂の記録映画やガストン・レビュファの「天と地の間に」などが有名ですよね。優れた作品も数え切れないのですが公開を目的としている以上、商業的価値や思想の伝搬を目的としたものがほとんどです。映画や映像は写真(最近はフェイクの写真も多いですが)などと比べると制作者の強い意図を表現しやすく、視聴者も知らないうちにそれに誘導されてしまいます。ユーチューブなどの場合でも広告料確保に奇抜な映像を上げる人も少なくはないですが、山関係の場合は基本的には個人的な記録の延長線上にあって安心して見続けることができるのが魅力なのではないでしょうか。

 

会社や団体、スポンサーなどに縛られない自由な意見や創作の発表を可能としてきたインターネットのプラットフォームですが、残念ながら最近では一方的な制限も頻繁に見られようになってきました。近い将来、新聞やテレビなどと同じように利権などに支配され偏向した内容へと変革していくのは明らかなようですが、少なくとも個人的な山の記録が自由に投稿でき安心して視聴できる体制が続いてほしいものです。

 

www.youtube.com

 

www2.nhk.or.jp

 

 

 

 

 

 

登山用ゲーター

f:id:midoriiruka:20210618014851j:plain

ゲーター、スパッツ、それとも脚絆?

ハイキングやトレイルランニングをしていて小石などがシューズに入り込んで困った人も多いことでしょう。面倒くさがり屋の私はそのまま行くか、立ち止まって靴を脱ぐかいつも悩みながら行動を続けてしまいます。うまくいけば入り込んだ小石が靴の中で移動してまったく気にならなく場合もありますが、結局は小石が入り込まないように行動前に万全の対策をするのが一番です。ゲーター(スパッツ)の着用がもっとも効果的なようです。

 

ご存じのようにゲーターは雪山では欠かせない道具です。昔はスパッツと呼ばれていましたが女性用のレギンスがスパッツとも呼ばれていることもあって、区別するために最近ではゲーターという言葉も使われるようになりました。ゲーターとは旧大日本帝国陸軍も採用していたゲートル(脚絆)のことで下肢の保護に大切な装備です。製造業や林業の分野で働く人たちにも有用で、特に鋳造工場などでは溶けて飛び散る金属から下肢を守るために革製のゲーターを着用することがあるそうです。冬山では保温効果の向上にも一役買っていることはいうまでもありません。

 

最近ではベルクロ式のものがほとんどですが、以前はファスナーで着脱するものが一般的でした。当時多くのものが下部よりファスナーを上げて装着していましたが、靴紐を締め直したりするには不便でファスナーを全開にして作業する必要がありました。あるプロショップでは画期的に上部よりファスナーを閉めるスグレモノのゲーターを発売していたことがありました。私が購入したものは今でも健在で、ときどき引っ張り出して使用することがあります。ベルクロ式は確かに便利なのですが雪が付着して凍り付いたりすると使えなくなるのが難点です。

 

私が山歩きを始めた何十年も昔の高校生頃は、登山靴の性能もいまいちでゲーターの代わりにオーバーブーツを使っている人もたくさんいました。オーバーブーツは布バケツのようなもので、登山靴を履いた足を突っ込んで紐で編み上げて着用します。確かに暖かいのですが靴底も覆われてしまうので必ずアイゼンやワカンと併用しなければなりません。ゲーターも初期のものはただの筒で登山靴を履く前に着用しなければならないものもありました。ミレー社のゲーターには素材も帆布製の筒型があってそのシンプルさに憧れていました。

 

今ではローカットのハイキングシューズやトレイルランナーで山道を歩く人も多くなりました。よく整備された登山道なら確かに快適で疲れも少ないようです。捻挫の予防など足首の保護ならくるぶしをしっかりと覆う登山靴がやはり安心で、ローカットの短靴には不安を覚える人も少なくはありません。それでも絶対に短靴という人にはぜひ是非ゲーターの使用をお勧めします。もちろん足首をしっかりとサポートしてくれる訳ではありませんが、写真のような頼りない超軽量のトレランゲーターでも一度装着するとかなりの安心感が得られます。少なくとも乾燥した石や砂が露出した路面では効果は絶大です。泥道でも効果が期待できます。都会ではまったく使用する機会のないゲーターですが雪山ばかりではなくトレランや低山ハイキングなどにももっと積極的に使いたい装備のひとつです。

MP3プレイヤー

f:id:midoriiruka:20210609144608j:plain

 聞きながら登山


音楽などを聞きながら散歩をしたりジョッギングをしたりする人は多いですよね。登山やハイキングに携帯イヤホンやヘッドホンを利用している人も少なくはないです。特に単独行の時は積極的に使う人が多いことでしょう。スマホとペアリングしたディバイスならいきなりかかってきた電話にも対応できるので便利です。何でもできるスマホスマしてしまう時代ですがシンプルな単機能のMP3プレイヤーも見直したいものです。

 

MP3プレイヤーはいわば昔あったカセット式ウォークマンの超小型版といえます。一斉を風靡した初代ウォークマンはカセットからCDへと進化して、現在ではストリーミングも可能なハイ・リゾリューション音楽専用機器へと発展しました。最新式のものはスマホサイズの本体を持ち歩かなければならないので、良い音にこだわらないのならシンプルなヘッドホンのみのプレイヤーか2、3センチほどの超小型プレイヤーがエクササイズや山登りには便利です。

 

シンプルなMP3プレイヤーの魅力は何といってもその再生時間の長さです。私の使用しているものは3、4日は連続して長時間使えて、もちろん大量の音声データを収納することができます。今ではケーブルを省略できるブルートゥースヘッドホンが主流です。便利で人気がありますがバッテリーの消耗が大きいのが難点で注意が必要です。山でもスマホで音楽を楽しむ人なら単機能のMP3プレイヤーでスマホの節電にもなります。こちらでは大きなスマホを腕のホルスターに入れてジョギングをしている人をよく見かけますが、音楽を聞きたいというよりもスマホが一瞬たりとも手放せない人に違いありません。スマホ無しでも不安がないならMP3プレイヤーがベストチョイスに間違いないでしょう。

 

ハイペースでランニングや登山をする人はビートの効いたアップテンポの音楽を楽しんでいるに違いありません。確かに音楽がアーゴジェニックエイド(作業補助)として運動効果に貢献するという研究もあり、そういう音楽があると頑張れるという人も多いことでしょう。私の場合はもうそんなに頑張れる歳ではないので静かなジャズのバラードやクラシック音楽などを聞きながらジョギングをしたり山歩きをしたりしています。スローな音楽なんてエクササイズには絶対合わないと多くの人が思うかもしれませんし、確かに私もそう考えていました。ところがある時ジョッギング中、クラッシク音楽がランダムに選曲されそのまま聞き続けていると、ゆっくりとしたペースに静かな音楽が溶け込み大きなリラックス効果が得られることに気づいたのでした。

 

山では鳥の声を聞いたり、獣の気配を感じたり、安全を確保するためにヘッドホンやイアホンの着用は避けるのが好ましいかもしれません。ただどうしても単調でつまらない行程もあるのでそういう時は音楽などを聞きながら歩くのが一番ですよね。特にひとりの時などは。ちょっと時代遅れになりつつある単機能のMP3プレイヤーですがシンプルで便利な一面は確かにあなどれない特徴を備えていると思います。

 

ロサンゼルスの高尾山

 

 

f:id:midoriiruka:20210602074306j:plain

老ハイカーの誇り


東京でもっとも人気があって多くのハイカーが訪れるのは高尾山ですが、私が暮らす南カリフォルニアのハイカーたちに最大の人気を誇るのがボルディー山です。いわばロサンゼルスの高尾山で正式名称はサン・アントニオ山、3千メートルの高さなので高尾山というよりは雲取山のイメージかもしれません。3千メートルの高山とはいえ若者なら2時間ほどで登れるので冬の一時期を除いて登山口の駐車スペースはいつも満杯です。

 

ボルディー山は都市部から1時間ほどの近さなので1ヶ月に複数回登りに来る人もたくさんいます。日本人と同じように山登りが大好きな韓国系の人たちも多く訪れ、日によっては山道で出会うハイカーが皆んな韓国系だったという日も珍しくありません。そんな韓国系ハイカーで毎日ボルディー山を登りに来る老ハイカーがいました。彼は毎日登ってきてすれ違う人と必ず言葉を交わすのでかなりの有名人でした。

 

私がその老ハイカーとお会いしたのは一度だけでしたが、出会い頭に「お前はいくつだ」といきなり年齢を聞かれました。私自身もけして若くはないので老人同士のライバル意識があったのかもしれません。ずいぶんと失礼な人だなと思いながら自分の年齢を正直に伝えると「俺は74歳だ」と誇らしげに言葉を返してきました。その歳を聞いて私はさすがに驚いて無礼な印象が一気に尊敬の念へと変わってしまいました。何時に登り始めたかとか、何回登っているのかなどの質問が続き、メディアから取材を受けたとか、遠征登山がどうだとか(内容は残念ながらよく覚えていませんが)悪く言うと自慢話が続きました。でも自分よりも一回りは年上の人が元気に毎日登ってくると思うと、私は「ほうほう、なるほど」と感心して話を聞いていたのでした。

 

f:id:midoriiruka:20210602071225j:plain

著名老ハイカーとツーショット


70歳を過ぎても元気に体が動き、それ以上に、いつでも山に行きたいという意欲を持ち続け実行してきた原動力は何だったのでしょうか。最近、私などは行きたい、登りたいなどと思っても、当日になるとちょっと面倒だななんて感じて止めてしまうことが多いのです。老ハイカーは毎日意地になって登り続けていたのでしょうか。それとも毎朝目が覚めるとワクワクしながら登山口に向かって行ったのでしょうか。自慢話を聞かせるために登り続けていたとしても何だか微笑ましくなってしまうし、今でも凄いなあと関心してしまうのです。残念なことに、その老ハイカーはお会いした1年ほど後にまだ雪の残るボルディー山頂付近から滑落してお亡くなりになりました。もう二度とお会いすることはありません。