アウトドアジジ

2分で読める? アウトドアのアクティビティ、道具、自然に関するブログです。

侵略

人と社会の生態系

 

交通の発達で人も物も自由に簡単に世界中の行き来が可能になりました。動物や植物も意図的にあるいは偶発的に侵入してきて侵略的外来種として本来あるべき生態系に悪影響を及ぼしています。私達は神経質に動植物の侵入を警戒するのですが、人の侵入に関してはきわめて無頓着でグローバル化ダイバーシティの名のもとで人の生態系(伝統や文化)が危ぶまれてきています。

 

 環境省のホームページでは外来種による生態系の悪影響として「捕食」「競合」「遺伝的撹乱」の三点を上げています。「捕食」とは外来種が在来種を食べること、「競合」とは在来種の生息や生育環境を脅かしたり餌の奪い合いをすること、「遺伝的撹乱」とは在来種と交雑して雑種をつくることです。このような悪影響を及ぼす外来種を侵略的外来種と呼んでいます。

 

興味深いのは同様のことが過度の国際化や移民政策によって人や社会の場合でも起こりうることです。「捕食」では経済的支配でグローバルな巨大企業が在来のマーケットを食い尽くしてしまうことになり、「競合」では本来守るべき固有の伝統や文化が単一的な国際基準の拡大によってその価値が徐々に失われていってしまうこと、「遺伝的撹乱」ではまさに交配が繰り返され民族の純粋な血統が失われていくことです。そしてこのような悪影響は人の場合は静かに穏やかに進んでいくのではなく、混乱を伴い摩擦を生み出していくのです。

 

侵略的外来種による被害を防ぐ手段として「入れない」「捨てない」「広げない」の三原則が上げられています。悪影響のある外来種を非分布域へ入れない。飼育、栽培している外来種を適切に管理して投棄しない。すでに非分布域にある外来種を広げない。これらの手段で被害拡散の抑制が可能になるということです。

 

人の場合は「入れない」原則に基づいても、労働人口が減っていけば移民制度の導入はやむを得ないかもしれません。「捨てない」原則で住み着いた外国人を管理しようとしても、人権の侵害と誤解されることもあります。「広げない」原則でも、大きなコミュニティを形成した外国人には自治権を行使する権利があるかもしれません。「入れない」「捨てない」「広げない」の三原則は人や社会の場合にはその運用に大きな課題と困難がともなうのです。

 

「入れない」ことが最も有効なのですが、グローバル化が急進する現代では江戸時代のような鎖国政策に逆戻りすることはできません。人々は全てにおいて安くて便利な物を追求し、それはよく売れて儲かるものです。ですから知らない間に侵略的外来種に取り込まれていってしまいます。大切なのは守るべき固有の文化や伝統が存在することを忘れないことです。環境や人権、はたまた民主主義などという甘い言葉に惑わされているうちに人や社会の生態系が破壊されてしまいます。

 

侵略的な外来種 | 日本の外来種対策 | 外来生物法

 

midoriiruka.hatenablog.com

 

 

 

無料サービス

最新アップデート


デジタル時代になってもうかなりの時間が経過しました。日々使う道具の価値観も変わり、良いものを修理しながら長く使うという習慣もほとんど無くなってしまったようです。ところが昨今のデジタル機器にはアップデートという優れた機能があってちょっと古い道具でもあっという間に改善されて、まったく新しく生まれ変わってしまうこともあるのです。

 

山歩きやジョギングの時によく使用するオープンイヤー式のイヤホンを先日アップデートしてみました。今回のアップデートで音質が格段に改善されたのでした。この機器は主にスマホではなくDAPと呼ばれる音楽専用のディバイスに繋げて使用しているのですが、今まではDAPのパワーに負けて曲によっては歪みが生じて設定を変更する必要がありました。アップデート後はその必要もなくなり、ブルートゥースの接続も向上してとても使いやすくなりました。また以前使用していたGPSウォッチでは複数回のアップデートで新しい機能が毎回追加され改善が進み購入時とはまったくの別物へと変貌していきました。

 

パソコンが普及し始めた当初は搭載されたOSに対し、消費者に不完全なものを提供して消費者自身に改善を促す詐欺だと文句を言う人もいました。不具合はアップデートで修正していくという体制がまだ受け入れられていなかったのです。ウィンドウズOSも当初は新しいものが登場するたびに購入する必要がありましたが、今では無料のアップデートで最新のものに変更できます。使い慣れた古いものがベストか新規のものが優れているかどうかは別問題として、少なくとも新しく改善された機能が無料で提供されることには意義があります。

 

アップデートによる改善の機能はメーカーのポリシーによるもので、外箱のハードはそのままでソフトのアップデートを自社で行い新製品として販売を始めるメーカーも少なくはありません。テスラなどは初めからアップデート機能をオプションとして販売しています。便利になればなるほど状況の変化に応じた細かい対処が必要になり、それを有料とするか無料のアフターサービスとするかは各メーカーの戦略によって違いが出てくるのは当然のようです。

 

山やスキーで使う道具はデジタル機能とは無縁の無骨なハードウエアが殆どですが、将来はピッケルやスキーなどにハイテク機能を持たせ登降や滑降の様子を記録したり、紛失時の回収を容易にしたりする機能が組み込まれるかもしれません。いずれにしても良心的なメーカーが増えて可能な限りアップデートが繰り返される消費者に優しいデジタル環境になっていくことが望まれます。

 

 

midoriiruka.hatenablog.com

逃げた鳥

メキシコアカボウシインコ


オウムやインコは中南米やオーストラリアなど主に暖かい南国に生息する鳥です。ところがそこまで熱帯的でなければ密林でもないロサンゼルスなど南カリフォルニアの都市部でも多く見られます。朝や夕方に騒がしい鳴き声で群れをなして町中を飛び回っている姿がよく見られるのです。メキシコアカボウシインコで、いわゆる帰化鳥で外来種です。

 

インコとはいってもハトよりは大きな鳥で、英語名では Red-Crowned Parrot とオウムとして扱われています。Parrot とはオウムのことです。インコとオウムはよく混同されてしまいますが、その違いは体の大きさと頭にある冠羽という羽飾りの有無です。またインコは色彩が豊富でオウムは主に単色となります。メキシコアカボウシインコは鮮やかな緑色で頭にちょこんと赤いアクセントが可愛いです。冠羽はないのでやはりインコと呼ぶのが正しいようです。

 

メキシコアカボウシインコは名前のとおりメキシコ原産の鳥なのですが、カリフォルニアで繁殖してしまった原因としてさまざまなうわさ話があります。ペット業者の倉庫が火事になり大量の鳥が放たれたためとか、単純に飼われていたものが逃げ出して繁殖したとかいろいろいろです。現在は輸入禁止となっていますが、以前は自由に取引きができたようで大量のインコがメキシコから持ち込まれました。

 

ロサンゼルスでは11種類の外来のオウムやインコが確認されています。野生のアカボウシインコは原産地のメキシコよりカリフォルニアの方がその数が多いそうで、メキシコでは絶滅危惧種に指定されています。都市部で繁殖してしまった鳥が実は絶滅危惧種に登録されていたとはほんとに驚きです。密林で数多く捉えられペットとして売られ数が減り、それが逃げ出して都市部で繁殖が進んだのでした。

 

日本ではガビチョウやソウシチョウなどの外来の鳥が繁殖してきて、在来種との競合による生態系への影響がたいへん懸念されています。アカボウシインコの場合は絶滅危惧種ということでその保護が望まれているのですが、原産地の自然の中ではなく外来種として都市部という全く異なる環境に順応してしまったのです。都会とはいえ外来種絶滅危惧種でも元来の生態系への影響を懸念すれば判断が難しいところですよね。今日も夕方になって騒がしい鳴き声をたてながらたくさん飛び回ってきました。




 

泥沼トレイル

雨中雨後禁止


私の住むところはあまり雨が降らないのですが、冬にになると時々まとまった雨が降ることがあります。家の近くの自然公園などでは雨が降ると数日間にわたってトレイルが立入禁止になってハイキングができなくなってしまいます。ハイカーの安全と自然保護のための規制です。

 

山岳部では砂礫など水はけが比較的良いので閉鎖されることは少ないのですが、都市部の自然公園などでは粘土質の土壌が多くぬかるんで歩くのが困難になります。ハイカーが水たまりを避けて道脇を通行すれば植生が後退してしてトレイルの道幅がどんどん広がってしまいます。小川も増水して危険な状態になることも考えられます。そのような理由からまとまった雨が降った後の数日間はトレイルが閉鎖されてしまいます。

 

いかにも正当な理由で規制が行われているように思えますが、全てのトレイルがそういう問題に直面しているわけではないし、降雨中や降雨後にトレイルが破壊されるほどたくさんのハイカーが利用するとも思えません。だいいちドロドロのぬかるみを一度でも経験すればしばらくは我慢しようということになるのです。そしてハイキング好きのコミュニティでその事が常識化しローカルルールとして広まるはずです。デベロッパーの大規模開発は自然破壊を容認して認可するのに、公園の利用者には自然保護や安全性を理由に規制をかけています。

 

日本の人には想像するのが少し難しいかもしれませんが、雨が降らない所にずっと住んでいると雨天気がほんとに珍しく好きになってしまうものです。雨に濡れながら散歩やジョギングを楽しむ人も多く、ほんの少しの雨でも風景が一変するので人々の心が浮き立っているようにも見えるのです。日本から移り住んできた当初はこういう様子はまったく理解できなかったのですが、何十年も暮らしていると確かに雨が恋しくなってしまうのです。所々に水たまりのできたトレイルを歩いてみたくなるのです。

 

そういう些細な楽しみが責任逃れや管理費削減のために奪われてしまっています。確かに泥道は歩けないのですが、歩きたい人は何時でもどうぞという自由が大切なのです。閉鎖されたトレイルはレインジャーが大きなトラックで見回って最終確認してから開放されます。トレイルにはトラックの大きな輪だちが残りそのまま乾燥して歩きにくくなってしまいます。

 

今登る、今滑る

中年危機と老年焦燥


ミッドライフクライシスという言葉をご存知でしょうか。アラフォーなど中年にさしかかった時に多くの人が経験する人生に対する挫折感や倦怠感です。自分の人生に先が見えてきて、これからどうしたら良いのか、こんなはずではなかったなどと憂鬱になってしまうことです。そんな悩みも生活に追われ年を重ねていつの間にか年寄りなってしまうと今度はとんでもない焦りを感じてきてしまうのです。

 

コロナ禍による失われた3年間、日本では4年間とされているようですが、何処にも行けず家に閉じ込められたこの期間は、高齢者にしてみればほんとに貴重な時間が失われてしまったのです。使うこともできず仕舞ったままのパスポートが気がつけば失効間近。元気に山を歩ける残りの体力があと5年ほどだったらその半分以上の時間が失われたとになります。しかも残りの半分はさらに体力が落ちてきていることになるのでかなり焦ってきてしまうのです。万難を排してやりたいことをやろうと目が血走ってきてしまいます。

 

私はスキーが好きでシーズン中はなるべくたくさん滑るようにしているのですが、楽しめば楽しむほど来シーズンはちゃんと滑れるだろうかとか、あと何年元気に滑れるだろうかと不安になってしまうのです。するとやっぱり今滑りに行かなければならいと焦ってしまうのです。そして殆ど滑ることのなかった30代、40代の自分がたいへん残念に思えてきてしまうのです。若い元気な体力でしっかりとスキーを楽しみたいと叶わぬ願望が湧き上がってきてしまうのです。

 

そういう悔恨の念に惑わされずに「今」を受け入れ「今」を楽しむことが年寄りには必要なのですが、そこで中年の諸君に忠告です。ミッドライフクライシスで落ち込んでいる暇はありません。登りたい山があれば今登りなさい。滑りたい雪があれば今季に滑りなさい。やりたいことがあれば今すぐ実行しなければならないのです。なければ必死に捜さなければならないのです。もう若者ではないあなたこそ時間がどんどん失われていくのです。

 

 

 

 

 

 

 

スキー場の条件

岩木山百沢スキー場

 

ローカルなスキー場に行くと決まって見かけたのは子供たちのスキー教室や熱心に練習を繰り替えす中高年のスキーグループでした。日本のスキー文化がありました。メジャーで有名な大きなリゾートではリフト代や宿泊代が高騰しグローバル化が進んだことで日本人はほんの僅か、多くが海外からのインバウンド客になりました。そんな中、未だに日本のスキー文化を受け継ぐ素晴らしいスキー場が東北にありました。

 

岩木山百沢スキー場は弘前近郊のローカルゲレンデです。津軽富士とも呼ばれる岩木山の頂上から南東に伸びる緩やかな尾根上に広がるスキー場です。リフトは3本、けして大きなゲレンデはありませんが、最上部から一気に大回りのカーヴィングで滑り降りればその満足感は格別です。暖冬のこの冬でも豊富に雪を頂いた真っ白な岩木山を間近に望むことができました。

 

こんな素敵なスキー場なのに驚きなのは利用者が地元の人ばかり、インバウンド客は私一人だけのようで外国人は一人も見かけませんでした。子どもたちのスキー教室が盛んで、その指導者の殆どが地元のオジサンやオバサン達のボランティアのようでした。もちろん家族全員でスキーを楽しむ様子もあちこちに見られました。高齢者のグループが熱心に練習を繰り返す姿もありました。

 

 

当たり前のように思える日本のスキー場の光景ですが、完全に高級リゾート化している海外のスキー場では考えられない光景です。子どもたちや初心者がスキーを習うのはプロのインストラクター、本格的に練習するなら選手養成のレーシングスクール。その費用は計り知れません。1日券は2万円以上、家族全員で2,3日スキーを楽しむとなると数十万円は軽く超えてしまいます。日本の雪国で誰でも楽しめる身近なスキーというスポーツは、海外では富裕層に限られる贅沢な娯楽なのです。ちなみに百沢スキー場、今回シニアの4時間券は何と1000円なのでした。

 

日本で高級リゾート開発を手掛けるある経営者は、こういうローカルな日本のスキー場がスキー産業の興隆を妨げているようなことを言っていました。確かに田舎の小さなスキー場には更衣室やロッカーもない、ゲレ食堂も昭和チックで垢抜けしないも所が多いのも事実です。ただスキー場を訪れるほとんどの人たちは雪を滑るために来るのであって、近代的な施設や一流ホテル並みのサービスは二の次なのです。そして気軽にスキーができることこそ良いスキー場の最大の条件なのです。

 

百沢スキー場はレンタカーを持たない旅行者には最悪のアクセスでした。最寄のバス停からはおよそ2キロの上り坂、山スキーのアプローチだと我慢して頑張りました。そういう話をゲレンデで働くオバチャンにすると「連絡してくれれば迎えに行きますよ」と言ってくれました。日曜日には駅から無料バスも出ています。必ずまた訪れたい優しくて素晴らしいスキー場でした。

 

 

 

 

冬山でスキーヘルメット

自称ベテラン


先日、自称山のベテランに出会ってちょっとお話をしました。何でも近郊の3千メートルの山に行ったらとても風がとても強くて寒いのでスキー用のヘルメットを探しているとのことでした。ひょっとしたら日本で山登りをする人の中にも寒さ対策でスキー用のヘルメットを使っている方もいるかも知れませんが、私は「へー、そうなんだ」などと思ったのでした。

 

スキー用のヘルメットは確かに暖かいのですが、登山用に比べればやっぱり重いし、かさばってしまうのです。山スキーとクライミングに併用できるスキーヘルメットも確かにあるのですが、それはもう登山用ヘルメットにかなり似通ったものになっています。その山のベテランは彼の友人であるもう一人の山のベテランに勧められたということでした。

 

一般的に冬山での頭部や顔面の防寒対策はバラクラバ(目出し帽)に登山用ヘルメット、その上からシェルのフードをかぶりスキーゴーグルというのが一般的です。ヒマラヤの高山でもシェルが羽毛服になったりバラクラバが薄手と厚手の2枚重ねなったりするくらいで、顔面の露出部を極力覆えばそれで十分なはずです。あとは我慢しかないのです。

 

彼がなぜ山のベテランかというと、この近郊の3千メートル峰に昨年は百回ぐらいは登頂していてエベレストにも行ったということでした。至れり尽くせりのガイド登山でもエベレストサミッターなら彼はエクスペリエンスドだと私は思ったのですが、実はベースキャンプまでのトレッキングでした。そして彼は強風、極寒の冬山はスキーヘルメットがベストだと信じていて、私に凄く寒いところでスキーヘルメットを使ったことがあるか聞いてくるのでした。

 

山で使う道具はいろいろ試して自分に合った道具を選んでいくことが大切です。だから彼がスキーヘルメットを実際に冬山で使ってみてそれを良しとするなら誰も文句は言えません。ただ私にはベテランだと自分で信じ込んでいる彼が冬山で一般的な防寒対策をすでに実践し経験していたとは考えにくいのです。先人たちが苦労して確立した山のスタンダードは多くの場合たいへん役に立つし、とりあえずはスタンダードを試すのが一番なのです。

 

ひょっとしたらその山のベテランはすでにいろいら試していて、もっと快適な道具を探しでいたのかもしれません。ただどう考えてもゲレンデスキーのヘルメットは登山では不便なようでなりません。私はには我慢ができない山のベテランのわがままに思えてしまうのです。私はもう年寄りで山での我慢はできませんが、若い人たちにはあまり道具で楽をしようと考えてはもらいたくないのです。