アウトドアジジ

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筑波山

ガマの油

 

関東の名峰といえば筑波山ですよね。古くは万葉集にも読まれ、田園風景の中に独立峰のようにたたずむその姿は太古の時代から常陸の国に暮らす人々に親しまれてきました。小学校の低学年、遠足で登った人生初めての山でした。

 

私が入学した小学校では筑波山の遠足が定例行事でした。近所の年上の悪ガキたちは筑波山で買ったというガマガエルのマスコットを皆んな持っていて、それを見せびらかし私はとても羨ましく感じたのでした。普段はお小遣いも貰えない田舎の貧乏な子どもたちです。特別に遠足だからといって貰った小銭で買ってきた手のひらの乗る小さなマスコットでした。私もこれが欲しくて筑波山の遠足が楽しみで仕方なかったのでした。

 

筑波山はなぜガマガエルなのかというと、江戸時代に山麓の村に住む男が江戸に出て巧みな口上でまがい物の妙薬を売り始めたことに起源があるようです。鏡を貼った箱に筑波山に生息するという四六のガマを入れると、その自らの醜さにおびえ脂汗を流し、それを集めて妙薬 (ガマの油) に仕立てたという口上です。映画の寅さんのように軽快な語り口で聴衆を引き付けるその口上は古典落語にも引き継がれ、つくば市無形文化遺産にも認定されているそうです。

 

筑波山といえばガマガエル

筑波山登山といっても小学校の1年生か2年生です。はっきりとは覚えていませんがケーブルカーを利用したようです。日本が絶好調の高度成長期、東京オリンピックの頃ですが筑波山のケーブルカーはなんと大正14年からの営業だそうです。ちなみにロープウエイの方は昭和40年からの営業で当時はまだなかったのかもしれません。山頂の広場に開けた斜面にはジュースの空き缶が大量に投棄されていて、今から思えば世界史上でも類まれな高度成長を遂げた日本の象徴だったようにも思えてくるのです。

 

土産物屋ではガマガエルのマスコットと一緒に天然色の絵葉書も購入しました。それには「弁慶の七戻り」という大岩がはさまった奇岩の写真があって、こんなのなかったと大きく失望したのでした。登山コースを辿って自分の足で登らないと拝めない奇岩なのです。他にも大仏岩やガマ石など低山には珍しく巨岩が多く、つい最近まではボルダリングや岩登りのゲレンデとして人気があったようです。

 

そんな筑波山ですが10年ほど前に再来したことがあります。山頂の土産物屋では50年以上も昔に小学生の私が買い求めた物と同じガマガエルのマスコットが売られていました。この時もただ車で立ち寄っただけなので「弁慶の七戻り」はまだ拝めていません。

 

 

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