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鎧虫

コブゴミムシダマシ

 

一寸の虫にも五分の魂といわれ昆虫は簡単に押し潰されるはかない命の代表のようなものです。特に人が無意識に歩いているだけで命の危険にさらされる地面を這う昆虫は悲惨なものです。ところがコブゴミムシダマシは車にひかれても潰れない頑丈な鎧を持った昆虫なのです。

 

コブゴミムシダマシは私の住む地域では頻繁に見られ、近所の自然公園などで舗装路の上をそろそろと歩いていたりします。英語では「Diabolical Ironclad Beetle」と呼ばれカリフォルニアの沿岸部に広がるオークウッドランドという乾燥した灌木地帯に生息しています。乾燥気候に対応して鎧のようになった鞘翅 (前羽) では飛ぶことはできません。コケや腐った樹木を食べて生きているそうです。2センチほどの黒い小さな甲虫で表面がデコボコでいかにも頑丈そうに見えます。まさに鉄の鎧をもった甲虫です。

 

昆虫標本は背中に針を刺して固定するものですがコブゴミムシダマシの場合は鎧が硬すぎて針を突き刺すことができません。その強度は体重の3万9千倍の圧力に耐えるということです。とはいえ普通の甲虫でもその半分ほどの強度は持ち合わせているということでこれもちょっと驚きでした。身近な虫けらに最新のテクノロジーでも追いつくことのできない凄い秘密が隠されているようです。

 

体内の水分を確保するために融合してしまったコブゴミムシダマシの鞘翅は特別な構造で高い強度を保っています。その結合部はジグソーパズルのように組み合って融合しています。さらに複数に重なった薄い層が外圧を逃がし外骨格が潰されてしまうのを防いでいることが最近の研究で明らかになりました。その特殊な構造が完璧に解き明かされて工業技術に応用できるようになれば驚くような強度と夢のように軽いマテリアルの開発が可能になるかもしれません。二酸化炭素を大量に排出する航空機などで大幅に燃費を向上させることができるかもしれませんね。

 

 

コブゴミムシダマシを拾い上げてみると即座に足を折りたたみ死んだふりをします。死んだふりをするのは捕食する動物の多くが動かないものには餌として興味を示さないからです。すぐに飛び去ったり、素早く走り去って身を守ることのできない悲しい小動物がとる手段です。コブゴミムシダマシの場合は頑丈な鉄の鎧で守られて捕食されてもすぐに吐き出されてしまうのですが、さらに死に真似で8年ほどの長寿だというから驚きです。

 

 

 

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