アウトドアジジ

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山岳図書のベストセラー

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ガイドブック

 

初めての登山やハイキングでは多くの人が知り合いの誰かに連れて行ってもらったことと思います。何の様子もわからずについて行ったものもきっと楽しい時間を過ごせたことでしょう。中には初めから自分で下調べをして出かけていった人もいるでしょう。ある程度の情報をつかんでおかなければ登山口にもたどりつけません。ネットやガイド本の助けが必要になってきます。

 

写真はジョシュアツリー国立公園のロッククライミングルートのガイドブックです。のんびり3年ほどかけてこの本の全ルートを登り終えた時のものです。ジョシュアツリーはターキッツと並び南カリフォルニアのクライミングのメッカで、初期のガイド本に記載されたクラッシックルートだけでも1400本近くあり、現在のネットガイドでは6000本あまりのルート数となっています。技術的に登れる登れないは別の問題として、広大なフィールドで目的のルートまでどう辿り着くかが大きな課題となってきます。もちろん数が多過ぎてどれが楽しくて満足できるルートかを選択することも容易ではありません。頼りになるガイド情報が欠かせません。

 

登山を始めた高校生の頃、奥秩父の山をよく歩きました。付き合ってくれる友人も少なかったし、当時はインターネットもありません。本屋さんで買ったガイドブックや地図だけが頼りです。人気のガイド本に載っているコースに飽きてくると、人が行かない尾根や沢に目が向いてきます。そんな時に知り合いがかなり以前に出版された古いガイドブックを見せてくれました。そこには誰も行かなくなった山頂や廃道になった登山コースが満載でした。未知の薮漕ぎルートにりっぱな登山道があったりしてとても興奮したものでした。最新の情報はもちろん大切ですが、古い情報も貴重で有益なことを知りました。

 

写真のガイドブックには初級から中級までのルートが60本掲載されています。選りすぐった素晴らしいルートだけが掲載されているわけでありませんし、初中級者向けということで軽視されがちのガイドブックです。ところがこの本が凄いのは、必ず目的のルートが発見でき、ほとんどの人がすべてのルートを完登できるように編集されていることです。公園内のすべてのルートを網羅した分厚いガイド本にはない大きな特徴です。最近は絶版になったのか見かけることがなくなりましたが、古くなってもいつまでも価値を失わない貴重なガイドブックです。

 

雑誌や単行本などの山岳図書でいつの時代でもベストセラーとなってきたのがガイドブックでした。最新のものばかりでなく絶版となってしまったものもその価値が下がることはありません。インターネットに侵略され息絶え絶えの出版業界ですが、どんな分野においてもしっかりとしたコンセプトでまとめ上げられた書籍が、断片的な情報の羅列に過ぎないインターネットに置き換わることはないでしょう。記載されたリストをひとつひとつ潰していって完了したときの達成感は、たとえ初中級者向けのものとはいえ十分な満足を得ることができました。

 

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1986年出版の古典的ジョシュア・ツリーガイドブック

 

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何故か日本語の解説も。日本が元気だった頃の名残り?