アウトドアジジ

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ジョシュアツリーの芸術家

ハイデザートスタジオ


ジョシュアツリー国立公園周辺のいくつかの町でアートツアーが開催されているというので行ってみました。ツアーの名のとおり、一つの会場ですべてを展示しているというものではなくパンフレットを参照して点在しているアーティストのスタジオ(自宅兼工房?)をかってに訪問する企画です。

 

アウトドア好きに限らず、静かな環境を好む人たちの最大の夢は自然いっぱいの森の中などに山小屋や別荘を所有することではないでしょうか。アーティスト達にとっても例外ではありません。森の中とは真逆のハイデザートと呼ばれる高原砂漠ジョシュアツリーですが、一軒家で静かに制作に没頭できるのが魅力です。辺境の地なので都会などに比べ低コスト、落ち着いて創作活動に取り組めるという訳です。まだ売れない若いクリエーターや趣味でアートに取り組む隠居者などが移り住んできています。

 

急峻な山肌を想像させる壮大な鉄屑アート


スキーリゾートなどにある別荘地とは違いコストが安いというのは、アクセスが悪くインフラも整っていないからです。道路は未舗装で整備メンテががされていません。かなりのデコボコ道を覚悟しなければなりません。車はすぐにホコリと砂だらけになってしまいます。井戸を自分で掘ったり、塀で所有地をかこったり、ヘビやコヨーテも出てきます。ジョシュアツリー近辺は高原砂漠地帯で雨がほとんど降らず、夏は高温で冬には雪も降ります。無味乾燥と思われがちですが高原砂漠特有の生態系が豊かで、日陰などは思いのほか快適で、そんな厳しい自然環境でもアーティスト達を魅了し続けるのです。

 

GPSも使えない遠隔地の丘の上にスタジオを構えるアーティストはサボテンの枯れ枝を利用した個性的で素晴らしいジュエリーを制作していました。チョイヤと呼ばれるサボテンの網目状になった枯れ枝をひろい、その型をとりシルバーを流し込む製法です。ジョシュアツリーならでは題材です。アフリカに住んでいた頃は、ゾウの尻尾の毛を利用したブレスレットなども作っていたそうです。近年はブームになって象牙のように密猟者のターゲットになってしまったようです。

 

網目状になるチョイヤの枯れ枝


丘の上にあるスタジオのテラスから見晴らす高原砂漠の光景は圧巻です。一気に地平線まで見渡せ、その上には乾燥した大きな青空が広がっていました。庭には一本の木が植えられていてとても気持ちの良い木陰を提供しています。水やりは欠かせませんが手入れの行き届いた綺麗な花壇もありました。

 

ジュエリーを造るそのアーティストはもうかなりのご高齢で、ご主人ともすでに数年前に死別しています。それでも創作意欲は衰え知らず。寂しさなどは微塵も見せず、その情熱を静かに淡々と暑く語ってくれるのでした。制作ばかりではなく、マーケティングにも自ら積極的に関わり活動を続ける老芸術家のライフスタイルに接して、彼女の人生をとても羨ましく感じてしまったのでした。

 

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