アウトドアジジ

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隠れ名所

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 シンダーコーン

 

雨の少ない南カリフォルニアでは当然緑も少なく地面が露出している砂漠地帯が広がっています。都市部に見られる木々のほとんどは人工的に植えられたもので、一歩都会を出れば山岳地帯を除いて半砂漠状態の荒野となっています。植物に覆い隠されていなので地形がよく分かるのが特徴で、ロサンゼルスから395号線を北にシエラの山々に向かって少し走るとシンダーコーンのすり鉢山が目に入ってきます。フォッシルフォールと呼ばれる395号線のちょっとしたランドマーク地域です。

 

シンダーコーンはまるで昔の炭鉱町にあるぼた山のように人工的な形なのですが、実際は4万年ほど前の火山活動によって出現したものだそうです。マグマやガスの噴出時に堆積した火山灰や火山礫によって形成されているそうです。このあたり一帯はコーソ火山地帯と呼ばれる地域で、火山活動で流れ出した溶岩が渓谷を形作り異様な情景を目にすることができます。渓谷を埋めるボコボコした玄武岩は水と氷で侵食されてツルツルとなめらかにきれいに磨かれています。周辺には簡素なキャンプ場もあって渓谷を散策したり、ちょっとしたロッククライミングも楽しめます。

 

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フォッシルフォールの地学的特徴を考えれば国立公園や国立モニュメントとして指定されても不思議はないのですが渓谷部以外はただの荒野。多々あるアメリカの広大な自然国立公園に比べればその規模の小ささは免れません。日本なら街道脇にあるあまり人の立ち寄らない秘められた名所のようなものです。ただ、それほど多くの人が立ち寄らないことで自然環境が保たれゴミも見当たりません。規制をして環境保全に力を注ぐ必要もなさそうです。国立公園などに指定されると、ただそれだけで注目され多くの人が集まり管理に手間がかかることになってしまいます。かつてモニュメントだったジョシュアツリー国立公園が公園に昇格したことで平日でも観光バスなどが多数訪れ、その静寂さと自由が失われていきました。日本でも懸念される世界遺産弊害とおなじようなものです。

 

キャンプ場にはアメリカでは定番のテーブルとファイヤピットがそれぞれのサイトに設置されています。キャンプサイトに直接車を乗りつけ荷物をおろし静かなキャンプが楽しめます。もちろん予約などは不要です。都会からちょっと離れたあまり人の来ない場所だからできることで、こういうキャンプは普通なら荷物をかついで何時間もバックカントリーを歩かないとかないません。国立公園や国定公園は国や大企業の乱開発を防ぎ末永く貴重な自然を保持していくを目標にしているものですが、できればそういう規制や管理なしで個人個人の努力で実行できれば良いと思います。