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侵略的外来植物

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ブラックマスタード


この時期、南カリフォルニアの野原は一面この黄色い花におおわれます。なだらかな丘が続く原野が黄色に埋め尽くされると春になったと実感してしまいます。ブラックマスタードマスタードウィード)の黄色の花は一気に原野を埋めつくし、最近ではバスツアーで見学ハイクに州立公園を訪れる観光客も現れてきました。

 

広大な丘陵地帯全体がブラックマスタードの黄色い花におおわれるのは圧巻でとても綺麗なのですが、実はこの植物、侵略的外来植物で問題になっているとのことでした。ポピーやルピナスなどカリフォルニアの在来の植物を駆逐して環境に大きな影響を与えています。ブラックマスタードから放出される化学物質は在来植物の発芽を抑制して、さらに大量の水分を吸い上げることで優勢を拡大しています。確かにこの黄色い花におおわれている地帯にはポピーやルピナスなどの花を見かけることはありません。

 

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在来種のルピナス

ブラックマスタードはその名の通りその黒い種子がマスタードの原料となります。持ち込まれて猛威を振るうようになってしまった原因の一つとして、スペイン人が香辛料を確保するために栽培を始めたことが上げられています。葉や花も食用になり栄養価も高く、若葉などはサラダに最適だとのことです。食糧危機などに見舞われたら近くの野原に出向いて収穫を始めることになるかもしれませんね。また、輸入穀物などに紛れて持ち込まれたとも考えられていて、その繁殖能力の高さに驚いてします。

 

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ブラックマスタードに侵略された丘陵地帯

驚異的な繁殖をおさえるのはもはや手遅れで、地中深く埋まった種子でも50年以上にわたって眠り続け発芽してくるそうです。一株あたりで何千もの種子ができるので、毎年ばらまかれるその数は億や兆の単位でしょう。頻繁におきる山火事の熱でも種子が発芽不能になることはありません。種ができる前に引き抜いてしまうのが良策なのですが、これだけ広がってしまえば何の手立てもありません。

 

ブラックマスタードの花が咲く時期は、枯れ野原に一年ぶりに草花の緑が蘇ってくる季節です。外来種で迷惑だと知ってもやはり心が和んでしまうものです。そんな黄色や緑の野原も数週間のうちに季節が進み、気温が上がり雨もまったく降らなくなくなります。隆盛を誇るブラックマスタードの花も他の草花と同様に一気に枯れて元の枯れ野原へと戻っていきます。そして、もっと深刻で迷惑な山火事の原因と姿を変えていってしまうのです。