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ユッカの白い花

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シャパラル・ユッカ

 

南カリフォルニアの野山に咲く花の中でいちばんに目を引くのはこのユッカの花です。当たり年には長い茎を伸ばしたユッカの白い花が原野一面に広がります。遠目に眺めているとただの白い花に見えますが、近くに行って見上げてみると淡い紫色の縁取りがあったりしてとてもきれいです。雨の少ない南カリフォルニアの野山に咲く花々のほどんどはとても小さいのですが、ユッカの花房はたいへん立派で春から夏にかけての楽しみになっています。

 

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このユッカはシャパラル・ユッカと呼ばれていて、シャパラルとは植生などによって分類されたエコシステムのひとつです。エコシステムという言葉は最近ではIT関係でも使われるようですが、いろんなものがからまり合ってバランスをとって維持されている生態系のことです。南カリフォルニアに広がる原野はどこも同じような荒れ地に見えてしまうのですが、実は微妙に異なった特徴によって数種類のエコシステムに分けられています。そして、シャパラルとは平たく言えば乾燥した灌木地帯のことで、この地方にもっとも大きく広がる生態系となっています。そこでよく見られるのがこのシャパラル・ユッカです。

 

 一般にユッカと呼ばれる植物にはいろいろと種類があって、このブログの口絵に貼っているジョシュア・ツリーもユッカの仲間です。ユッカというと日本ではイトランなどとも呼ばれていて鉢植えの観葉植物という印象があるかも知れませんが、シャパラル・ユッカもジョシュア・ツリーもとても大きく育つ植物です。シャパラル・ユッカは成長して花が咲くと竹のように枯れてしまいます。また、竹のように花が咲くまで時間がかかりますが、数十年ということはなく数年の間に花が咲いて枯れていきます。開花するときは太い茎が毎日15センチくらいはぐんぐん伸びていくのでまるで竹の子ようで驚いてしまいます。

 

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開花して一生を終えたユッカ


ハイキングに行ったときなどあわれに朽ち枯れてしまったユッカの残骸を目にすることがありますが、その周辺には開花を待つ元気な次世代が必ず成長しています。また、放射状に伸びた葉の先端には鋭いトゲがあるので足元などに注意をしないといけません。ちなみに、シャパラル・ユッカの受粉は特定の蛾のみによって行われそうで、この蛾がいないと絶滅してしまうということです。ユッカが絶滅してしまえばシャパラルのエコシステムも大きく変化してしまいます。環境破壊を続ける人間などとは違い小さな虫の方が存在する価値が大きいのかもしれませんね。