アウトドアジジ

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カリフォルニアホーリー(トヨンの赤い実)

不運な雑木


野山で見られる木々や草花の中にはその美しさにも関わらず不運にもあまり注目されずただの雑木、雑草として扱われている植物は少なくありません。カリフォルニアの野山によく見られるトヨンと呼ばれる低木もその一つです。クリスマスのこの時期、たわわに実る赤い実(トヨンベリー)はとても美しいのです。

 

トヨンは園芸用のピラカンサスによく似た植物なのですが、カリフォルニアのネイティヴプラントです。春から夏にかけて白い花を咲かせ、秋から冬に真っ赤な小さな実を枝にたくさんつけます。クリスマスの飾り付けによく使われる西洋ヒイラギ(クリスマスホーリー)は有名なのですが、トヨンはそれに似てその鮮やかな赤い実でカリフォルニアホーリーとも呼ばれています。ハリウッド(ホーリーウッド)の地名は付近で多く見られるトヨンにちなんだものといわれています。昨冬は雨がたくさん降ったので花もたくさん咲き、実も豊作となりました。

 

 

これほど鮮やかにたくさん実って野山を彩っているのに、メディアやSNSに注目されて取り上げられることはありません。注目を浴びないのは人々のただの無関心かもしれません。日本人的感覚からすれば、近隣の公園などでは「トヨン祭り」などというものが催されても不思議でない気もします。公園のホームページやパンフレットなどにも登場することはありません。

 

 

もともと殺風景な南カリフォルニアの自然、数年に一度ほど満開となって野山を覆い尽くすカリフォルニアポピーぐらいしか人々は関心を示しません。1年の大半は薄茶色に枯れわたっている季節変化のない景色に、当然ですが誰もが無関心なのです。例えどんなに多くのトヨンの赤い実がなっていようが人々の目が枯れ草の野山に向かうようなことはありません。そういう意味ではハリウッドの名前がこの植物に由来しているなどということは奇跡とか思えないのです。

 

四季の変化があって寒くなったり暑くなったりするからこそ自然の様子に人々の目が向きます。季節の移ろいによって日本人の繊細な心が育まれ、微妙な季節の変化にも敏感になれるわけです。不運にも注目されることのないトヨンの赤い実を見て、この地をハリウッドと呼ぼうといいだしたのは、ひょっとしたらその繊細な日本人の心を引き継いだ日系移民かもしれませんね。