アウトドアジジ

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深山の怪しい沼

迷彩ガエル

 


私達はいろいろな美しい珍しい景色を期待して登山や山歩きをします。夏の高山に広がるお花畑、冬に凍てつく岩稜など下界では出逢うことができない景色を山で楽しむことができます。その中でも最も神秘的で魅力的なのが深山にたたずむ小さな池や沼ではないのでしょうか。

 

もうだいぶ以前の話ですが島々より徳本峠に向かったときに森の中に突然現れた小さな沼がありました。沼の水は濃い緑色にたたずみ湖面には鬱蒼とした木々が暗く映り込んでいました。神秘的というよりは幽界に誘われるような怪しい雰囲気が周囲に漂っていました。同行していた妻は「Very eerily - とても不気味」などと言っていましたが、その不思議な景色に囚われていたようです。

 

そう云う怖いもの見たさというのも確かにあるのですが、それ以上に深山の池や沼では珍しい生態との遭遇を期待してしまいます。特に環境の変化に敏感な希少な両生類を確認できることが多いのです。両生類には絶滅に瀕している種が多く、生息地が厳重に保護されていることもあります。近郊の山では最近、絶滅状態にあったイエローレッグフロッグというカエルを250匹ほど生息地に放す保護活動が行われています。気候変動の影響もあるようですが、外来種による捕食やレクリエーション活動拡大などの影響も大きいとのことです。

 



先日も4時間ほどの山歩きの後に立ち寄った湖沼では1センチほどの無数の小さなカエルが辺り一面を移動しているのに出くわしました。以前ジョシュア・ツリー国立公園のオアシスで見つけたカエルと同じように巧妙なカモフラージュをまとっていました。ジョシュアツリーのカエルは薄い灰色に黒い斑点で周囲に点在する花崗岩とまったく同じ配色で一度見失うと見つけるのが本当に大変でした。ウジャウジャとご馳走が動き回っていても捕食する側はかなり目を凝らさないと捕らえるのは難しいようです。

 

岩の斑点のように見えるカエル

深山の池や沼には昔からさまざまな伝説があります。木や藪ばかりの森が突然ひらけていきなり怪しい光を映し出す水面が広がれば、妖精や竜神が忽然と現れても不思議ではありません。森林限界を超えて氷河地帯に広がるアルパインレイクも確かに美しいのですが、深い森に囲まれた神秘的で怪しい深山の池や沼の魅力にはかないそうにはありません。その存在を知ってしまえば山頂などはどうでも良い、ここだけは訪れてみたいととても気にかかってしまうのです。