アウトドアジジ

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ピッケルとアイゼン

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古道具

 

 

ピッケルとアイゼン、最近は英語でアイスアックスとクランポンとも呼ばれています。雪山を登るには必須の アイテムで、特にピッケルは登山家の魂などと呼ばれていた時代もありました。最近は鍛造品も少なく、シャフトもアルミ製でただの工業製品となってしまいました。

 

上写真のピッケルとアイゼンはもう40年以上昔のものです。ピッケルの金属部はもちろん鍛造製で先端は非常に薄くて硬い氷でも跳ね返されることはありません。シャフト部は木に合成樹脂を注入したもので劣化は全く見られません。その昔、木製のシャフトにはアマニ油などをしみこませて手入れをしたものです。山行前にアルプスのガイドがピッケルを斜めに立かけて足で踏み込んでシャフトの強度を確かめている映像を見たことがあります。同じことをこの樹脂製のシャフトに試しても何の問題もありませんでした。問題はその重さで最近の軽量ピッケルに慣れるととても山に持ち出す気になれないのは事実です。その一方、アイゼンの方は同じ鍛造製でもかなり軽量で今でも快適に使用することができます。昔の物なのでバンドで登山靴をぐるぐる巻きにしなければなりませんが。

 

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アルミ製軽量ピッケル

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先端は強度の高いステンレス製


ピッケル、アイゼンはもちろんアルピニズムの発祥地である欧州製が本場ですが、昭和の初期には職人たちが工夫を凝らして日本製の道具をつくり始めました。門田や山之内ピッケルは日本の伝統的な刀剣の鍛造技術を受け継いだとても美しい芸術的な山道具となりました。まさに武士の魂ならぬ登山家の魂と呼ぶに相応しいものでした。私が山歩きを始めた高校生のころはまだ市場に出回っていて、オジサンたちはこういうのを使っていたんだと感心したものでした。とはいえ当時でも、もっと機能的な最新式の道具に目が向き骨董品のような道具にはあまり興味はありませんでした。

 

今では職人が手間暇かけてつくっていく製品は製造効率が悪く、安価な中国製などにはとても対抗できません。コンピューターを駆使した設計で高機能で軽量、しかも低価格な道具は市場の原理で古い道具を次々と駆逐していきました。確かに、古い美しい道具にこだわって高価な対価を支払うのには勇気が必要です。後継者や流通など解決しなければならない多くの課題がありますが、できれば職人がつくる日本の伝統的な良いものがリーズナブルな価格で手に入るようになればと願うばかりです。

 

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