アウトドアジジ

2分で読める? アウトドアのアクティビティ、道具、自然に関するブログです。

山の服装

ベテランの誇示


どの世界でもベテランと称する人たちのこだわりは持ち物や服装で、高価なブランド品や選りすぐられた道具でその地位を誇示しています。厳しい登山やお気楽な山歩きでも山行に適した準備を抜かりなく行い万全の体制で挑むのがベテラン、つまり熟達者です。一目でベテランか初心者かを判断できるのはやはりその服装ではないでしょうか。

 

私の友人で多くの山行を普段着でこなす登山のベテランがいました。初心者が大金をつぎ込んで万全の服装で冬山に挑んでいる時に、彼はジーパンにジージャンという街の普段着で冬の八ヶ岳に現れたことがありました。以前、ブログで紹介した冬至の赤岳ビバークの時です。彼の着ていたジージャンにはもちろん防水や撥水加工は施されていません。ビバーク時にはその袖は完璧に凍り付きピッケルでなぞるとカラカラと面白い音をたてて彼はそれを楽しんでいたのでした。

 

大学山岳部で鍛え上げられ、ヒマラヤ高峰の登頂経験もある彼はそのベテランの誇示を普段着で登山することで示していたのでした。初心者が陥りやすい過剰装備、いわゆるオーバーキルを皮肉っていたのでしょう。「こんな山ならそんな物いらないよ」熟達者なら最低限の装備や服装で素早く快適に目的の登山を済ましてしまうのです。一度も洗ったことない小汚い着古しのシェルやザックを身に着けてベテランを気取る登山愛好家も多いですが、彼の場合は小綺麗な街着でも冬山でビバークして難なく下山してこれることを多くの登山経験から確信していたのでした。

 

近年の登山やキャンプの道具の発達は目覚ましく、それぞれの状況に応じたものを細かく選択し、新しい物が登場したらすぐに買い替えることが当たり前になってきました。そういう道具のほとんどがただ快適さを追求するだけで多くの物が必ずしも必要ということではありません。経験を積んだベテランのみが何が必ず必要なのかを心得ているようです。ジーパンにジージャンで冬山に現れた彼もしっかりとウールのベースレイヤーを身につけていたのでした。

 

*表題写真はカリフォルニア・シエラネバダの山脈です。