アウトドアジジ

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登山用語

カタカナ語


ザイル、ピッケル、アイゼンと登攀用具に限らず登山用語は昔からドイツ語が広く使われてきました。私が学生の頃はザイルをロープなどと呼ぶと先輩から「ザイルだ。バカ野郎!」などとどやされたものでした。登山にドイツ語が広く使われるようになった理由は諸説あるようですが、外国語を語源とする外来語がしっかりと定着しています。

 

近年のIT関連の用語などは全てが英語。コンピューターシステムに不慣れな上に、さらに用語が外来語で意味不明となれば日本のお年寄り(私も年寄りです)がスマホなどをいじれないのは当然です。私は英語圏でだいぶ長いこと暮らしてきましたが、確かにこちらの年寄にもITが苦手な人はたくさんいます。しかし用語が全て母国語の英語なので日本のお年寄りに比べたら遥かに取っ付き易いようです。

 

登山を始めたばかりの人はその業界用語 (?) に手間取ってしまうのが普通です。すごく天気の良いことをピーカンといったり、トイレに行くことをキジウチとかお花摘みとかいったり、一般に使われているリュックという言葉は使わずにザックといったりさまざまです。お年寄りがIT用語に不慣れで取っ付きにくいように、登山の初心者も専門用語のボキャブラリーを広げないといつまでも初心者の域を脱することが難しいのです。

 

その昔、フリークライミングやスポーツクライミングが流行りだした頃は、新しい用語が次々と出現して岩登りのベテランたちも意味不明の外国語に困惑していました。レッドポイントにピンクポイント、ベータにフラッシュなど意気盛んな外国の若者たちがクールなスラングとして使っていた言葉が専門用語として受け入れられてきたのでした。山頂にはこだわらずに岩場の面白い部分だけしか登らない行為は、当時の岩登りのベテランにとって正に邪道行為、新しい用語にも困惑してしまうのも当然でした。

 

日本語はとても柔軟な言語でいろんな外国語をいとも簡単に吸収し外来語として日本語にしてしまいます。外国の言葉がカタカナになった時点ですでに日本語になってしまっていることを忘れてはいけません。ちなみにカタカナ表示は初めてその言葉を聞いた人の主観や外国語のローマ字読みが反映しているようです。例えば、メリノウールは私にはどうしてもマリノウールとしか聞こえず、友人はそれを聞いて「えっ、マリノウールって言うの」などと驚いていました。最近読んだ繊維関係の本ではマリノウールと表記していて私の耳もそれほど外れてはいないと思いました。ラベル、レーベル、レッテルなんかもともと同じ言葉ですものね。

 

そういう訳で、定着した外来語がそのまま外国語だと錯覚して外国人にはまったく通じなかったりするので唖然としてしまうのですが、安全に山を登るための技術は世界共通です。ロープを使う岩登りなどでも多少言葉が通じなくてもコミュニケションができてしまうことが嬉しいです。登山用語がドイツ語でも英語でも山を楽しむためにはあまり関係がないようです。

 

 

*ドイツ語の由来をいろいろ考察していてとても興味深いビデオですよ。

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