黒い首に顔には白いアクセント、カルガモよりはずっと大型の水鳥です。日本でたくさん見かけることはないようですが、北米ではかなり一般的な水鳥です。 長い首を突き出して忙しく羽を動かし大声をあげて編隊飛行する様子はとても特徴的です。カナダガンとかカナダカモとか呼ばれるこの鳥は高級羽毛服で有名なカナダグースの社名にもなっています。
メイドインカナダの高級防寒具メーカーであるカナダグースの商品には20万円以上するダウンジャケットもあって使い倒す登山用にはかなりもったいない気もします。極地探検や犬ぞりレースの防寒具として有名なのですが、登山やスキーでの使用にはデザインが古臭くネットでは流行遅れでダサイという評価もあるようです。同じ羽毛製品で有名なフランスのモンクレールも同様ですが、もともとは厳しいアウトドアのアクティビティで積極的に使用するための商品を開発してきた企業です。ところが今ではセレブご用達のデザイナーブランドのように受け入れられて、街着で自慢する高級ファッションメーカーとなってしまいました。
パタゴニアやノースフェイス、最近ではアークテリクスなども高級アウトドアアパレルとして人気がありますが、ファッションブランドとの違いはやはり山でボロボロになるまで使う人がいるということでしょう。商品開発も販売戦略もあくまでもアウトドア使用にしぼり、けしてファッションブランドというわけではありません。とはいえ、ここカリフォルニアでアークテリクスなどのゴアテックスシェルを購入する人のほとんどが街着やせいぜいスキーリゾートで使用するくらいです。それぞれのアクティビティに特化した高機能の製品がオーバーキル状態(タカラの持ち腐れ)になっています。
ゴアテックス製品を一度も使ったことのない人がちょっと寒い小雨の日なんかに800ドルのアークテリクスジャケットを町で着て、このブランドは凄いということになっています。そんな環境ではアマゾンの格安雨具でも大した違いはないのですが、どうやらそういうことで高級アウトドアアパレルブランドが育っていくようです。厳しい登山を想定して開発されコストも上がってしまった商品が「値段が高い、間違いない」と富裕層を捉えてブランド力が増していくようです。中には値段だけが高くて大したことない物も多いのですが。
カナダグースの高級羽毛服にカナダガンのグースダウンが使われていたかは不明ですが、今ではどうやら一般的なダック(アヒル)ダウンに置き換わっているようです。登山用羽毛製品というと、昔は水鳥の胸毛のほんの一部からしか収穫できないホワイトグースダウンがほとんどでした。当時でもそれなりに高価でなかなか手を出せるものではありませんでした。しかも街着で使う人などは皆無、あくまでも極地遠征や厳冬期登山に使用する特別な装備だったのです。
現在ではほとんどのアウトドア用羽毛製品が中国製(中国産羽毛)となっていますが、品質の良し悪しは原産地ばかりではなくその処理方法によっても大きな違いが現れてくるとのことです。もちろんフィルパワーやシェル生地、縫製などによっても性能の差がでてきます。手っ取り早い選択方法はやはり値段ということになって、金持ちセレブのように「値段が高い、間違いない」で判断するのが一番なようですね。