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ニーモの寝袋

 

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しゃもじ型

 

アウトドアのお店をしばらくぶりに覗いたりすると、目にしたことのない新商品が溢れていてびっくりしてしまいます。アメリカでは自己のアウトドアの経験から大胆なアイディアを思いつき起業する元気な会社がたくさん生まれてきます。毎年、物珍しい新製品が登場し市場に定着していきます。登山やキャンプで誰もがお世話になる寝袋も例外ではありません。

 

日本ではテントで有名なニーモは寝袋も製造していて、ゆったりして快適な寝心地を得るために製品のほとんどがスプーン・シェイプというユニークな形状になっています。写真は私が所有している1世代前の製品ですが寝袋の下部がゆったりと膨らんでいるのが分かるかと思います。中に入ると脚部がゆったりとしていて、寝返りも普通にできます。スプーンというより最早おしゃもじのような形状です。首周りにには襟巻きのような保温帯が付いていて肩部から冷気の侵入を防いでくれます。写真では中に入っていますが、温かいときは外に出すことも可能です。羽毛を確保するバッフル(キルト)の形状もS字型の独特な形状になっています。

 

素晴らしいデザインだということで飛びつく消費者も多く私もその一人でした。確かに幅にゆとりがあってすこぶる快適なのですが、使ってみて致命的な欠点があることにすぐ気づきました。この寝袋は華氏15度(摂氏-9.4度)が設定された耐寒温度ですが、とにかく寒いのです。寝袋の耐寒温度は多くがサバイバル限界温度として表示されていて15度で使用すれば寒いのは当然なのですが、快適温度帯で使用してもそれほど暖かくはありません。年寄りになったからかもしれませんが、幅広のデザインが影響してか寝袋内の熱が逃げているようです。

 

寝袋の耐寒温度はENやISOなどの統一企画によってテストされ購入時のの目安となりますが、環境や体調によって暖かさの感じ方が変わってきます。もともと寝袋には耐寒温度表示などはなく以前は夏用、冬用などとしてシンプルに分類されていました。スリーピングパッドも今ではRヴァリューなどの断熱効果の表示が一般的ですが、建築資材の断熱テストを流用したものでキャンプ用として統一された企画はまだないようです。客観的な数字で製品の性能や特徴が見分けられれば消費者には嬉しい限りですが、多くの基準や規格が統一されていないのも事実です。ヘッドランプなども同じルーメンなのにメーカーによって明るさが違ったりしますよね。

 

ニーモの寝袋には本格登山用の製品もラインナップされていて、それにはさすがにスプーン・シェイプのデザインは取り入れずに伝統的なマミー・シェイプとなっています。機能と効率を重視すればやはり長年の経験に裏付けされた伝統的なデザインが一番です。今では当たり前になった全開式のサイドファスナーも熱を逃し、重量を増やすだけで不要の長物といえるでしょう。ただ寝袋を使用するのは本格登山者ばかりではないのでさまざまな種類を選べることは大切です。奇抜なデザインや表示されている数値などにはあまりとらわれずに、何が必要なのか、どう使うのかをしっかり分かって道具を選ぶことが大切なようです。

 

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