アウトドアジジ

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スキー場の条件

岩木山百沢スキー場

 

ローカルなスキー場に行くと決まって見かけたのは子供たちのスキー教室や熱心に練習を繰り替えす中高年のスキーグループでした。日本のスキー文化がありました。メジャーで有名な大きなリゾートではリフト代や宿泊代が高騰しグローバル化が進んだことで日本人はほんの僅か、多くが海外からのインバウンド客になりました。そんな中、未だに日本のスキー文化を受け継ぐ素晴らしいスキー場が東北にありました。

 

岩木山百沢スキー場は弘前近郊のローカルゲレンデです。津軽富士とも呼ばれる岩木山の頂上から南東に伸びる緩やかな尾根上に広がるスキー場です。リフトは3本、けして大きなゲレンデはありませんが、最上部から一気に大回りのカーヴィングで滑り降りればその満足感は格別です。暖冬のこの冬でも豊富に雪を頂いた真っ白な岩木山を間近に望むことができました。

 

こんな素敵なスキー場なのに驚きなのは利用者が地元の人ばかり、インバウンド客は私一人だけのようで外国人は一人も見かけませんでした。子どもたちのスキー教室が盛んで、その指導者の殆どが地元のオジサンやオバサン達のボランティアのようでした。もちろん家族全員でスキーを楽しむ様子もあちこちに見られました。高齢者のグループが熱心に練習を繰り返す姿もありました。

 

 

当たり前のように思える日本のスキー場の光景ですが、完全に高級リゾート化している海外のスキー場では考えられない光景です。子どもたちや初心者がスキーを習うのはプロのインストラクター、本格的に練習するなら選手養成のレーシングスクール。その費用は計り知れません。1日券は2万円以上、家族全員で2,3日スキーを楽しむとなると数十万円は軽く超えてしまいます。日本の雪国で誰でも楽しめる身近なスキーというスポーツは、海外では富裕層に限られる贅沢な娯楽なのです。ちなみに百沢スキー場、今回シニアの4時間券は何と1000円なのでした。

 

日本で高級リゾート開発を手掛けるある経営者は、こういうローカルな日本のスキー場がスキー産業の興隆を妨げているようなことを言っていました。確かに田舎の小さなスキー場には更衣室やロッカーもない、ゲレ食堂も昭和チックで垢抜けしないも所が多いのも事実です。ただスキー場を訪れるほとんどの人たちは雪を滑るために来るのであって、近代的な施設や一流ホテル並みのサービスは二の次なのです。そして気軽にスキーができることこそ良いスキー場の最大の条件なのです。

 

百沢スキー場はレンタカーを持たない旅行者には最悪のアクセスでした。最寄のバス停からはおよそ2キロの上り坂、山スキーのアプローチだと我慢して頑張りました。そういう話をゲレンデで働くオバチャンにすると「連絡してくれれば迎えに行きますよ」と言ってくれました。日曜日には駅から無料バスも出ています。必ずまた訪れたい優しくて素晴らしいスキー場でした。