アウトドアジジ

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山登りと会社員

 



人格成長

 

 

人は仕事などの経済活動ばかりではなく、いろいろな趣味を通じて多彩なスキルや社会経験を積み重ねていくことができます。その中でも最たるものは登山や山登りではないでしょうか。人との付き合い方から成すべき作業の手順や判断、生活技術にサバイバルスキルまで様々なことを経験でき身につけることができます。

 

若い頃の就職面接で趣味は何ですかと聞かれたので迷わず「山登りです」と答えたことがありました。すると同席していた面接担当者のひとりに「そりゃだめだ不採用です」と言われ ました。「休暇ばかり要求して仕事にならない」ともう一人の担当者にその理由を説明していました。過去によほど山にのめり込んだ困った部下を抱え込んでいたに違いありません。

 

山登りをする人は会社では使えないという判断ですが、その担当者には大きな誤解があります。私がその会社で役に立つことができたかどうかは別として、私の知る山友達の多くは献身的で努力を惜しまず問題解決能力に優れた人物ばかりです。必ず会社や社会に貢献できる人達です。もちろん中には人に頼って何もしない輩がいることも事実です。ただ登山では多くの場合、目的を達成するための様々な努力や行動が要求され、それが人を成長させているようです。

 

例えば、全員が疲れ切ってやっとたどり着いたテント場です。誰もが遠い水場まで水汲みに行こうとはしません。ところが必ず「仕方ねえ俺が行ってやる」という人間がでてきます。時には下降して登り返しで30分以上かかる場所もありました。困難な岩登りの核心ピッチでやる気をなくした時に積極的にロープのトップを引く山友もいました。技量や体力にそれほどの違いはなく気が乗らないのは当人も同じです。やっと登りついた稜線から谷間を見下ろした時です。飛んでいたパラグライダーがつぶれて急降下し始めたこともありました。「まずい!救助だ」幸い再びパッと開き回復したものも私にはとても他人事でした。救助などとは思いもよりません。鍛え上げられた山友の行動を見て怠惰な自分も何をすべきか学習していくのでした。

 

人の嫌がることを積極的に自らの行動で示す。できそうでできない本当の人間の価値が試されます。大変であることを理解しているからこそ感謝の気持ちも湧いてきます。「休暇ばかり要求して仕事にならない」というのは、今から思えばその企業の体質に問題があり、正に「働き方改革」が必要とされていたのかもしれません。当たり前の休暇が取得できないということは企業自体に競争力がないことの証です。これからさらに少子化グローバル化が進む中、登山経験が豊富で有能な人材を積極的に採用していくのが日本企業が生き残っていく手段のひとつかもしれませんね(笑)。

 

 

*人格形成というと幼少期や青年期に限られそうなので、ここでは歳を重ねて丸くなることも含めて人格成長としました。ところで、こういうことも研究されているようです。一般スポーツと登山とは明白な違いがありますよね。

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