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地中海性気候

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雨が好き?


最近は大雨の連続ですが、以前には線状降水帯などという気象用語はまったく耳にすることはありませんでした。気候変動によって顕著になった気象現象のようで、ただでも雨の多い日本でさらに大雨をもたらす危険な状況を表す言葉として定着してしまったようです。日本に暮らすほとんどの人が雨に嫌気がさすのは当たり前なのでしょうが、冬の間のほんの一時期をのぞいてほとんど雨の降ることのない南カリフォルニアに居るとそんな雨がほんとに恋しくなってしまうのです。

 

南カリフォルニアは世界でもごく稀な地中海性気候に属しています。地中海性気候はカリフォルニア以外に、もちろんヨーロッパの地中海沿岸と北アフリカの一部、それにチリ、オーストラリア、南アフリカの限られた狭い地域のみとなっています。夏には雨が極端に少なく乾燥し、温かい冬に少しまとまった雨が降るという日本人には羨ましい温暖な気候です。冬でも陽が照れば暖かくなるこの地域、ダウンジャケットやセーターを着込んだ人とTシャツに半ズボンの人が一緒に歩いていたりする奇妙な光景も見られます。ちなみに表題のビーチ写真は11月も下旬に撮影したものです。海に入っている人も確認できますが海水はかなり冷たいんですよ。

 

ここロサンゼルス周辺に移り住んできた日本の人たちは温暖で雨の少ない気候を誇りに思う人達が多いのですが、私自身は30年以上住んでみてやっとその退屈な気候にやっと慣れてきた状態です。毎朝、目を覚ますと相変わらずの雲ひとつない上天気、朝から眩しい太陽がギラギラしていると住み始めた頃は気が滅入ってしまいました。毎日、毎日、同じ天気がずっと続き嫌気がさしてくるのでした。もっとも、気象条件にもよりますが濃い海霧が内陸部まで上がって来るどんよりとした日もあって、こんな日は今日は涼しいかななどと喜んでいると9時くらいにはあっという間に雲が切れて強い日差しが照りつけてきます。こんな日々がだいたい3月から11月頃までは続き、まとまった雨は降らないので日本のしっとりとした雨が恋しくなってしまうのです。

 

カリフォルニアで発生する大雨の気象条件といえば、冬になるとたまに発生するパイナップル・エクスプレスが有名です。ハワイ諸島辺りからぐーんとカリフォルニアの沿岸部まで伸びる線状降水帯のようなものなのですが、偏西風の関係で最近はあまり顕著な発生は少ないようです。過去には610ミリの降水量を記録したこともあって地元の山にも雪がたくさん積り、シエラネヴァダの山でも4メートルの積雪を記録したこともありました。まあ日本の雪国に比べれば大したことはないのですけど。私のように山に積もる大雪を歓迎する人も多いのですが、山火事で不安定になった斜面の土砂が大雨で滑り出し大きな災害を発生させることもあります。

 

日本で山やキャンプを楽しむ人たちが思い出を探るときにしっかりと記憶に残っているのはその時々の季節感です。新緑や紅葉に雪景色、季節の景色が友人たちと一緒に過ごした楽しい時間を鮮明に思い起こしてくれます。そして、いつでも想い出深いのは雨の日にずぶ濡れになったり、寒い思いをした苦労です。こちらではそういう季節感はほとんどないので、あの時は春か夏か、はたまた冬だったのかと印象も薄れ、思い出もぼんやりとなってしまいます。嫌な雨も私には、確かに人生を豊かにしてくれているような気がしてなりません。